こころの電話

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10月16日~柔らかで広い心を持つように…

 秋空に段々と浮かぶ波のような雲を鰯雲と言いますが、雨降りの前兆とも言われています。

 さて、お経の中で、相手に接するときの理想的な姿を「和顔愛語」という言葉で表されています。

 「和顔」とは平和の和に顔と書いて、「和やかな顔」という意味、「愛語」は愛という字に語句の語と書いて、「慈しみあふれる言葉」という意味で、和やかな顔で、相手を思いやる言葉で接するということです。

 しかし、これがなかなか難しいのです。私も妻から常々、「あなたは心の有り様がすぐに顔に出ますね」と注意されますが、「思い内にあれば色外にあらわる」という言葉の通り、心の動きは、そのまま顔に表れるものです。

 悲しいときは自然と暗い顔になり、自分の意に沿わないことがあった場合は怒り心頭、般若のお面ような顔にもなる。逆に楽しいときはとても明るい顔になり、顔の表情は様々です。

 一人の時であれば問題はないかもしれませんが、それが人と接するときとなると、相手に不快な思いや心配をさせたり、傷つけてしまって円満な交際ができなくなる場合さえあります。

 そうならないためには、やはり常日頃からの心がけが大切です。日頃から、和らぎのある心を保つようにし、相手の立場や心を理解し、優しい言葉で接するよう心がけることが大切です。

 和らぎのある心とは、竹のような姿をイメージしたらいかがでしょう。竹は、堅くて太い木とは違って、強い風が吹いて来るときは大きくしなりはしますが決しておれません。弱い風の時はさらさらと笹の葉を揺らします。どのような風にも柔軟に対応できる柔らかで広い心を保つように、日頃から心がけることが大切でしょう。言葉も同様です。

 和やかな顔で、慈しみあふれる言葉で人と接する。家庭で、地域で、職場で、和やかなお付き合いができるよう、日頃から心がけましょう。

10月16日~柔らかで広い心を持つように…2010年10月17日【130】

10月1日~今の今、生かされて…

今年もお彼岸が過ぎましたが、例年にない酷暑のせいか、彼岸花が遅れて満開です。

 さて、かなり前のことですが、ある会合で隣同士になったお医者様が、私にこのような質問をされました。

 「私の病院にもたくさんのご老人が来られますが、その中に、時折『ナンマンダブ、ナンマンダブ』とお念仏を称えている方がいます。あれはどうしてでしょう。何らかの意味
や効果がなければ、お念仏を称えることはないと思うのですが…」

 今では少なくなりましたが、少し前までは、おじいさんやおばあさんが、生活の至る場で、「ナンマンダブ、ナンマンダブ」とお念仏をお称えする風景を時折見かけることがありました。それには何らかの意味や効果があるはずだ、とおっしゃるのです。なるほどお医者様らしい質問です。

 それに対して私は、「それは、心のお薬を頂いておられるのです」と答えました。「多くのいのちに生かされて、多くの人々に支えられて、今の今生かされて、仏さま有り難う」という、喜びと感謝がお念仏となって口から出て、実はその喜びの声がお薬として、耳からご自身の心に繰り返し繰り返し届けられているのです。

 そして、「この繰り返し繰り返しがお薬の漢方薬と同じです。即効薬や特効薬は病気を治すための強い薬で、副作用や体に悪影響を及ぼすこともありますが、漢方薬は毎日こつこつと頂いて、自然のうちに体が改善されていきます。心も同様です。自分の耳を通して、喜びと感謝の心を、繰り返し繰り返し頂くことが大切なのです」と、お話ししました。

 季節は実りの秋です。「多くのいのちの生かされて、多くの人に支えられて、今の今生かされて、仏さま有り難う」。喜びと感謝の心を味わいながら生活をしたいものです。南無阿弥陀仏のお念仏のお薬を頂きながら生活を送りましょう。

10月1日~今の今、生かされて…2010年10月01日【129】

9月16日~年を重ねたからこそ…

 秋のお彼岸です。朝夕、少しずつ涼しくなってきました。

 さて、今月二十日は敬老の日です。今年の百歳以上の高齢者は、全国で過去最多の四四,四四九人。四十年連続の増加となり、長寿国の日本です。

 年を取ることは、社会の第一線から退いたり、気力体力が落ちたりと、あまりいい意味で語られないことも多いのですが、そうばかりではないようです。

 先日、ラジオでバイオリニストの千住真理子さんが、二人の有名なピアニストについてお話をされました。

 二人のピアニストそれぞれに、若い頃演奏したものと、年をとってから演奏したものとの両方が放送で流されましたが、とても不思議です。同じ人が同じ曲を、同じ譜面を見て演奏しているのに、曲の雰囲気が全く違います。

 千住さんは、前者のピアニストについては、「全く同じ音符を演奏しているのに確かに何かが増えている。空気までも読んで演奏している」と表現し、後者のピアニストについては,「一音一音、音を確かめながら、味わいながら演奏している」と表現していました。

 そして、三十年以上もバイオリンを演奏している千住さんご本人も、若い時には出来なかった演奏が、今になってできる。年と経験を重ねなければできない演奏があるとおっしゃっていました。

 私たちの生活も同様のことが言えそうです。若いときはよく理解できなかった言葉が、今になってしみじみと味わえる。若いときはとてもおいしいと思えなかった食材が、ゆっくりとした食生活の中でおいしく味わえる。例えば自然の移ろいなど、若いときは何にも感じなかった事柄が、年を重ねた今、身をもって感じることができる。

 年を取らなければ感じ得ないこと、年を重ねたからこそ味わえること、できることが、身の回りにはたくさんあります。仏さまのみ教えも、年を重ねたからこそしみじみと味わえるかもしれません。お彼岸にぜひお寺にお参りください。

9月16日~年を重ねたからこそ…2010年09月16日【128】

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