10月1日~今の今、生かされて…
今年もお彼岸が過ぎましたが、例年にない酷暑のせいか、彼岸花が遅れて満開です。
さて、かなり前のことですが、ある会合で隣同士になったお医者様が、私にこのような質問をされました。
「私の病院にもたくさんのご老人が来られますが、その中に、時折『ナンマンダブ、ナンマンダブ』とお念仏を称えている方がいます。あれはどうしてでしょう。何らかの意味
や効果がなければ、お念仏を称えることはないと思うのですが…」
今では少なくなりましたが、少し前までは、おじいさんやおばあさんが、生活の至る場で、「ナンマンダブ、ナンマンダブ」とお念仏をお称えする風景を時折見かけることがありました。それには何らかの意味や効果があるはずだ、とおっしゃるのです。なるほどお医者様らしい質問です。
それに対して私は、「それは、心のお薬を頂いておられるのです」と答えました。「多くのいのちに生かされて、多くの人々に支えられて、今の今生かされて、仏さま有り難う」という、喜びと感謝がお念仏となって口から出て、実はその喜びの声がお薬として、耳からご自身の心に繰り返し繰り返し届けられているのです。
そして、「この繰り返し繰り返しがお薬の漢方薬と同じです。即効薬や特効薬は病気を治すための強い薬で、副作用や体に悪影響を及ぼすこともありますが、漢方薬は毎日こつこつと頂いて、自然のうちに体が改善されていきます。心も同様です。自分の耳を通して、喜びと感謝の心を、繰り返し繰り返し頂くことが大切なのです」と、お話ししました。
季節は実りの秋です。「多くのいのちの生かされて、多くの人に支えられて、今の今生かされて、仏さま有り難う」。喜びと感謝の心を味わいながら生活をしたいものです。南無阿弥陀仏のお念仏のお薬を頂きながら生活を送りましょう。
2010年10月01日【129】