こころの電話

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4月16日~あの人はまだ迷っている…。

 心地よい春風に境内の木々が揺れています。

 さて、四月も中ばにかかり、新たな目的をもってスタートをした方々も一息つかれるころでしょうか。

 仏教を学ぶうえでよく聞く言葉に「迷い」があります。目的をもってスタートしたはずなのに、その目的地や道のりがわからなくなる。そして、今自分がどこにいるのかわからない。一番大変なのは、自分が迷っている状況にあるのに、それに気ずかず目的地とはまったく別の方向へ向かってしまっていることでしょう。

 よく亡くなった方に対して、「あの人はまだ迷っている」などと言う人がいますが、果たしてそうでしょうか。それは仏さまの教えにあまりご縁のない方が言われることで、本当に迷っているのは生きている人間ではないでしょうか。

 仏さまが目あてにしておられるのは、生きている人間です。迷っているのに、迷っていることになかなか気づかない私たち人間であります。

 では、私たちが迷わない人生を送るにはどうしたらよいのでしょうか。

 まず目的地を見失しなわないために、常に目的地が分かる指標、目印を持つことです。

 次に目的地にたどり着くための確かな地図を持つことです。

 そして、いつでも自分の居場所が確認できるナビゲーター。問い尋ねることのできる人を持つことです。

 だれしも人生には山や谷があります。時には行く手阻む絶壁に向かわねばならない時もあります。

 あなたには、人生の指標と地図、そしてナビゲーターがあるでしょうか。

 その指標と地図となるのがお経であり、そこに説かれる教えです。ナビゲーターが仏さまのみ教えを聞く聴聞です。

 お寺のご法座にお参り下さい。あなたの迷いが明らかになり、確かな指標が明らかになるすばらしいみ教えがあります。

4月16日~あの人はまだ迷っている…。2013年04月18日【190】

4月1日~サンキュウ、すみません。

 境内の桜は、春風であっという間に散ってしまいました。

 さて、先日出張したときの出来事です。宿泊先は大浴場があるホテルで、私も夜、その大浴場に行きついでにサウナにも入りました。

 サウナは九〇度ほどの温室で、そこで汗をかいて次に冷たい水風呂に入り、それを数回繰り返すことにより疲労回復をはかり体の抵抗力を高めるものです。

 サウナの部屋には、私と体の大きな白人の男性、そして数人の日本人の中年男性がいました。

 そして、私がその部屋を出る時と白人男性が出る時がちょうど重なり、タイミング的に私が先に出たので、私は部屋のドアを開けて待つ形になりました。すると、その白人男性は私に対し片言の日本語で、「サンキュウ、すみません」と会釈をしてくださいました。

 また、その白人男性は水風呂に入るとき、水風呂の前にしゃがみ、桶で自らの汗を流して入りました。皆が入るお風呂なので汗を流してから入るのがマナーだからです。

 次に、再び私がサウナの部屋から出るときと、今度は日本人の中年男性が出るタイミングが一緒になり、また私が先に出たのでドアを開けてその男性を待つ形になりました。

 するとその男性は、何も言うこともなく知らんぷり。さらに「皆のために汗を流して入って下さい」との目の前の看板を無視し、多量の汗をかいたまま水風呂にドボンとそのまま入りました。

 私は少々複雑な思いに駆られました。かつて礼節を大切にした日本人からそれは失われ、逆に外国の人がそれを大切にする姿を見たからです。「郷に入れば郷に従え」との言葉がありますが、既に従うべき郷の姿は失われ、それを外国の人に教えてもらいました。

 礼節は、相手を敬う心が姿に表れたものです。お互いが敬い合い、相手を思いやる心によって開かれる節度ある生き方です。この美しい心と形、あなたには、そしてあなたの周りには残っているでしょうか。

4月1日~サンキュウ、すみません。2013年04月01日【189】

3月16日~二人の頑張り屋さん

 三月十一日は、東日本大震災による物故者の三回忌でした。犠牲となられた方々を偲びつつお寺でご法要をお勤めしました。

 さて、三月と言えば別れの季節です。私の先輩の幼稚園の園長先生に伺った、ある卒園式の出来事です。

 厳粛な式が終わり、卒園児たちは教室に帰って、最後のお別れの集いが開かれました。

 卒園児は五歳児です。その中で三歳児から三年間を過ごした体に障害を持った男の子のAちゃんがいました。Aちゃんは運動会やおゆうぎ会など、クラスの友だちと一緒に練習に励み共に過ごしました。

 体にハンディを抱えていますから、健常児と一緒に競技や練習するのには大変な努力が必要です。でも、頑張り屋のAちゃんは、一生懸命努力をして卒園まで頑張りぬきました。

 そして、その姿を見てきた担任の先生は、Aちゃんの三年間の努力と頑張りを皆の前であらためて紹介し誉めたそうです。

 すると、クラスの数人の子どもたちが、「先生、Aちゃんもとても頑張ったけど、もっと頑張ったお友達がいるよ」と言いました。

 それは、昨年五歳になった春に、初めて幼稚園に通うようになったBちゃんでした。

 幼稚園に三歳から通うのと、五歳になって初めて通うのとでは、その習得や成長面で自ずと違いが出ます。

 Bちゃんは、何をやるにも初めてですべて遅れてしまいます。しかし、歯を食いしばって一生懸命頑張って皆についていきました。周りの園児たちはその姿をしっかりと見ていて、Bちゃんの努力を褒め称えたのです。

 体にハンディを抱えたAちゃん、五歳から通うようになったBちゃん、どちらも頑張り屋さん。子どもたちには、体にハンディがあるなしにかかわらず、分け隔てなく、平等にその人の努力を見つめるまなざしがあることを知らされる出来事です。

3月16日~二人の頑張り屋さん2013年03月23日【188】

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