4月1日~サンキュウ、すみません。
境内の桜は、春風であっという間に散ってしまいました。
さて、先日出張したときの出来事です。宿泊先は大浴場があるホテルで、私も夜、その大浴場に行きついでにサウナにも入りました。
サウナは九〇度ほどの温室で、そこで汗をかいて次に冷たい水風呂に入り、それを数回繰り返すことにより疲労回復をはかり体の抵抗力を高めるものです。
サウナの部屋には、私と体の大きな白人の男性、そして数人の日本人の中年男性がいました。
そして、私がその部屋を出る時と白人男性が出る時がちょうど重なり、タイミング的に私が先に出たので、私は部屋のドアを開けて待つ形になりました。すると、その白人男性は私に対し片言の日本語で、「サンキュウ、すみません」と会釈をしてくださいました。
また、その白人男性は水風呂に入るとき、水風呂の前にしゃがみ、桶で自らの汗を流して入りました。皆が入るお風呂なので汗を流してから入るのがマナーだからです。
次に、再び私がサウナの部屋から出るときと、今度は日本人の中年男性が出るタイミングが一緒になり、また私が先に出たのでドアを開けてその男性を待つ形になりました。
するとその男性は、何も言うこともなく知らんぷり。さらに「皆のために汗を流して入って下さい」との目の前の看板を無視し、多量の汗をかいたまま水風呂にドボンとそのまま入りました。
私は少々複雑な思いに駆られました。かつて礼節を大切にした日本人からそれは失われ、逆に外国の人がそれを大切にする姿を見たからです。「郷に入れば郷に従え」との言葉がありますが、既に従うべき郷の姿は失われ、それを外国の人に教えてもらいました。
礼節は、相手を敬う心が姿に表れたものです。お互いが敬い合い、相手を思いやる心によって開かれる節度ある生き方です。この美しい心と形、あなたには、そしてあなたの周りには残っているでしょうか。
2013年04月01日【189】