こころの電話

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10月1日〜独りよがりの親切に

 お彼岸は既に終わりましたが、道ばたでは彼岸花が鮮やかな赤を放っています。

 さて先日、大阪に出張し電車に乗っていたときのことです。

 途中の駅で、高齢の女性が乗って来て座っている私の目の前に立たれました。

 普段より、「お年寄りに若輩が座席を譲るのは当然のこと」と思っている私は、すぐさま座席より立って、「どうぞ、おかけください」と座席を譲りました。

 するとその女性は、「いえ、大丈夫です。次で降りますので…」と言い、立ったまま座ろうとはされませんでした。

 「そうか、次の駅で降りられるのか」と思った私も、そのまま立って電車に乗っていましたが、なんとその女性は次の駅ではなく、四つ先の駅で降りていかれ、席を譲りそれを素直に受けてもらえなかった私の心には、少々不快なものが残りました。

 お年寄りに席を譲るのは当然のこと、当たり前のことと言いながら、心のどこかでは、その行為が自らの善意であるという意識がはたらいているのでしょう。恥ずかしいことです。

 他人に親切のつもりでしたことが必ずしも素直に受け入れられたり、感謝されたりするとは限りません。

 それは受け取る側の問題があるからです。人は一人ひとり、性格も違えば育った環境も異なります。

 社会的な立場も違えば、その日その日の心や体の状態も違います。また、目の前に現れた人によっても対応が異なるかもしれません。

 ですから、自分が相手に対して当然のこと、当たり前のこと、親切なこと思ってしたことが、独善の行為の押しつけになってしまうことも多くあり、時には相手を傷つけてしまうことさえあります。

 相手を思う心を常に持つことは大切なことですが、相手の心を無視した独りよがりの思いやりや親切にならぬよう、心がけたいものです。

固定リンク | 2016年09月28日【270】

9月16日〜幼い子どもは伸び伸びと

 お彼岸が近づき、朝夕は次第に涼しくなりました。

 さて、この度、西本願寺の第二十五代目のご門主である大谷光淳様が、初めて著書を出版されました。

 『ありのままに、ひたむきに 〜不安な今を生きる〜』という本で、PHP研究所から発行されています。

 日常生活の中で、心の不安や社会の矛盾に振り回され、様々な悩みをかかえて生きていかねばならない私たち一人ひとりが、ひたむきに精いっぱい生きていくことのできるヒントが、お釈迦さまや親鸞聖人の教えを拠り所に、とてもわかりやすくやさしく説かれています。

 その中で、弁護士で元大阪市助役の大平光代さんとの対談があり、現代の親子の関係についてお話しされており、大平さんは、今の時代の親は、「子どもを静かにさせよう、静かにさせよう」という意識がはたらいて、子どもを抑圧している現状があるのではとおっしゃいます。

 その原因には、日本の狭い住宅事情や社会自体にゆとりがなくなってきている点が考えられますが、そのような環境の中で、どうしても「静かにさせなければ」、「教育しなければ」という、「子どもを上から押さえつけないといけない」という意識が強くはたらいてしまうのではないかとお二人は話しておられます。

 この対談を読ませていただき、なるほど幼稚園やこども園でたくさんの子どもたちをお預かりする私自身も、知らず知らずのうちに同じような姿になっているのではないかと反省させられました。

 元来幼い子どもは自由奔放、泣きたいときは泣き、暴れたいときは思いきり暴れるものです。

ともすると静かにしている子がよい子、大人の言うことをすぐに聞くがよい子という、大人の一方的な価値観にとらわれているのではないかと。
 
幼い子どもが伸び伸びと精いっぱい動くことのできる環境を大切にしましょう。幼い子どもが自分の思いを存分に表現し発散できる環境を、社会に、家庭にたくさん作りましょう。

固定リンク | 2016年09月16日【269】

9月1日〜どれほど涙を流しても…。

 台風十号は、岩手県と北海道を中心に甚大な被害をもたらしました。被害に遭われた皆さまに心よりお見舞い申し上げます。

 さて、ブラジル・リオで開催されたオリンピックは、先月二十一日で幕を閉じました。

 世界各国から集まった選手たちの活躍は大変素晴らしいものでしたが、逆に、練習の成果を十分発揮できずに、メダルに手が届かなかった選手の涙も大変印象的でした。

 今月七日からは、いよいよパラリンピックが開催されますが、いつもこの大会で感動を与えてくれるのは、競技を終えた後の選手たちの表情です。

 元来オリンピックは世界レベルでの勝負を決めるものですから、勝者は満面の笑みと喜びの涙を流し、敗者は拳を握りしめ悔し涙を流すものです。

 ところがパラリンピックでは、同じ世界レベルでの戦いではありながら、勝敗よりも、競技を最後まで精いっぱいやり遂げた選手たちの表情が、見る者に感動を与えます。

 このパラリンピックを提唱したのは、イギリスのルードヴィヒ・グッドマン博士という人で、彼は障害を持った人に対し、「失ったものを数えるな、残されたものを最大限に活かせ」と問いかけました。

 どれほど涙を流しても悔やんでみても失ったものは帰ってはこない。それよりも残されたものに最大限の価値を見出そうではないか、ということでありましょう。

 もしも、私自身が障害を持つ身になったとき、失われたものへの執着心を離れ、真の希望と未来を持つことができるか自信はありません。

 しかし、これまで多くの障害者の方々がこの言葉に出会い、私には想像もつかないほどの苦しみや悲しみを乗り越えて、自らの真に生きる場を創り出されたことは紛れもない事実であります。

 この度も、その素晴らしい姿に学ばせていただきたいと思います

固定リンク | 2016年08月31日【268】

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