こころの電話

最近の記事

12月1日〜少しだけ慈しみの心を…

今年も残すところあと一カ月。年を重ねるごとに、一年過ぎ去るのが早く感じます。

 さて先日、テレビで九州の大型テーマパークが、死んだ魚五千匹を氷漬けにしたスケートリンクをオープンしようとしたところ、「残酷」、「かわいそう」といった批判が集まり、急きょ閉鎖されたというニュースがありました。

「まるで海の上を滑っているような感覚で楽しめる」と、飛び付くような話題性、意外性を考えた上での企画だったのでしょうが、氷漬けのリンクの製作過程を伝えた同園のフェイスブックで、口が開いた魚の写真に、「お、おぼれるー」「息、出来なくなってきたよ」とセリフまで付けて紹介するなど、ニュースを通して知る限りはあまり感心できる内容ではありませんでした。

またマスコミの取材に対しても、魚は食用として売り物にならない死んだ規格外の魚を市場から仕入れたとのことですが、規格外であろうが規格内であろうが、命を持っていたことに変わりなく、その魚たちを氷漬けにしたリンクを人間が滑って楽しむことに、痛みや悲しみを感じた方も少なくはないと思います。

  本格的な冬に向かって、お客さんを集めるために競争の激しいお仕事で、ご苦労も多いことでしょうが、どうか共々に、少しだけ慈しみの心を持ちましょう。命を哀れむ心を持ちましょう。そのことをあらためて教えられた心に重いニュースでした。

  小さな魚たちに、一つ一つの尊いいのちを見た詩人・金子みすずさんの詩を味わいます。

 朝焼小焼だ 大漁だ 

 大羽鰮(いわし)の 大漁だ。

 浜は祭りの ようだけど

 海のなかでは 何萬(まん)の

 鰮のとむらい するだろう。

固定リンク | 2016年11月29日【274】

11月16日〜凡夫の自覚ということ

 紅葉の少ない鹿児島の山々も所々色づいてきたようです。

 さて、連日マスコミを騒がせてきたアメリカの大統領選挙も、大方の予想を覆しトランプ氏が勝利しました。

 偽りの理由をもって起こしたイラク戦争によって、多くの若者を失った大国アメリカの失望感。

 人や物やお金が国際社会を自由に行き来するグローバル化によって、広がりすぎた所得の格差。

 戦争も、教育も、医療も、福祉もすべてビジネス。利益優先によって生じた人々の社会的な不安などが、一挙にトランプ氏への支持に動いたような気がします。

 トランプ氏の当選によって、アメリカもまだ混乱の中にありますが、日本においてはTPPの問題や東アジアの安全保障の問題も大変心配されるところです。

 この度のアメリカ大統領選挙にかかわる混乱のニュースを見るにつけ、いかに人間が相手の立場に立って物事を考えることが難しいか思い知らされます。

 また自由という名の下に、人間の果てしない欲望が人々の間に多くの溝を作ってしまったような思いもいたします。

 親鸞聖人は、凡夫の自覚ということを私たちに教えて下さいました。

 凡夫とは、仏さまの眼に照らされた人間の本当の姿、私自身のことを言います。

 その姿とは、怒りや腹立ち、ねたみや嫉む心があふれていて、臨終の時までその心は絶えることはない。

 凡夫とは、仏さまのまことの教えによって、人間の心根の限界に気づかされた言葉であります。

 決してお隣の国のことだけではない。私自身と私たちの社会の問題であります。

 親鸞さまは、「人間社会には嘘や偽りが多く、まこと真実といえるものは念仏しかありません」とも言われます。

 これは、仏さまの智慧と慈悲をより所にした生き方こそ、まことの生き方であると言い換えることができましょう。

固定リンク | 2016年11月16日【273】

11月1日〜あの人とまた会いたいなぁ…

 冷たい小雨が時折降る季節です。

 さて、ご法事でご門徒のお宅によく出向きますが、ご法事が終わるとお斎、つまり会食の時間となります。

 お斎とは、お勤めをした僧侶やお参りに来てくださった方々を感謝の思いでもてなすお膳のことで、お参りされた方々で思い出話をして、故人を偲ぶ目的もあります。

 時間が許す限り、私もその席につくようにしていますが、そのお斎の様子は様々です。

 お参りに来られた全員で、亡き方の懐かしい思い出話をしたり、アルバムを広げて皆で泣いたり笑ったりのあたたかな家庭もあります。

 逆に、故人の話など何一つ出ることもなく、世間話で終始する家庭もあります。

 また、ご法話が縁となって仏教やお寺の歴史、親鸞聖人やお念仏の教えに話が発展することもあります。

 常々そのような風景を見ながら、もし私自身が死んだなら、ご法事の席で、私の家族や知人たちはどのような話をするだろうか、亡くなった私に対してどのような評価をするだろうかと、思いました。

 私の思い出話など何一つ出ることもなく世間話で終わるなら、これはとてもさみしい思いがします。私の欠点や不評、悪口を言うくらいなら、まだ世間話の方がましです。

 人にはそれぞれ、性格やクセ、表情や行動など特徴があり私自身、できるならそのよい部分を人に見てもらい、印象に残して、覚えていてほしいものです。

ところがあらためて自分の姿をふり返ると、そのよいところがあまり見当たりませんし、よき方向へ向くような努力も普段からしていません。そして、そのことを一番感じているのは、同じ屋根の下に住まう家族でありましょう。

 やがてお別れをしたとき、「あの人ともう一度会いたいなあ」と言われる存在になることができたなら何と素敵なことでしょう。

またそのためには、日々私は何をすべきでしょうか。互いに一度は考えておきたい事柄です。

固定リンク | 2016年10月28日【272】

[1]    «    3  |  4  |  5  |  6  |  7  |  8  |  9    »    [97]

- 管理用 -

最近の記事

月別記事