こころの電話

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7月1日〜まだ足りないまだ足りない!

 「今年はよく雨が降りましたね」。これが最近のあいさつ言葉です。

 さて、先日読んだ本の中に餓鬼のことが書いてありました。餓鬼とは仏教で説かれる迷いの世界にいる存在です。

 地獄よりも少し上にあって、生前に貪りの心にとらわれ施すことを知らなかった者が堕ちる世界と言われます。

 この餓鬼には三つのタイプがあるそうです。

 一つ目は「無財餓鬼」といって、字の通りまったく財産を持たない餓鬼です。

 着る服もなく食べ物も持ちません。ひもじくて道に落ちている馬糞まで食べようとするのですが、口に持っていくとたちまち炎となって燃えてしまい食べることができず、飢えの苦しみを負わなくてはなりません。

 二つ目は「少財餓鬼」といって、文字通り少しの財産を持った餓鬼です。とは言っても、糞尿や残飯などしか食べることができません。

 最後は「多財餓鬼」で、これは多くの財産をもった餓鬼で、今風に言えばセレブな餓鬼です。

 豪華な家に住み、別荘まで持って、運転手付きの車で思うがままに送り迎え、ご飯も日本料理、中華、フランス、イタリア、何でもござれです。

 またこの多財餓鬼は、餓鬼の世界だけでなくいろんな世界に行くこともできるそうで、もしかしたら私たちの人間の世界にもいるかもしれません。

 こんなセレブな餓鬼が何の苦しみを負うのかが問題です。それは、足ることを知ることのない苦しみです。

 いくら豪華な生活をしても、どれほどおいしいものを食べてもまだ足りないまだ足りないと満足できず、ついには人の物までも手を出してしまいます。

 自分でもっているもの、与えられたもので満足できないとき、人は餓鬼になってしまうのです。

 先日、退職された東京都のお偉いさんにも聞いていただきたいお話です。いえいえそういう私も聞かせていただきます。

固定リンク | 2016年07月02日【264】

6月16日〜しなやかな人生のすすめ

 梅雨の最中、素晴らしいニュースが飛び込んできました。

 大リーグに挑戦し十六年、四十二歳になるイチロー選手が、日米通算でピートローズが持つ最多安打を抜く記録、四二五七本を成し遂げたのです。

 テレビではイチロー選手のインタビューが放送されていましたが、「ここにゴールを設定したことがないので、実はそんなに大きなことという感じはまったくしない」、「チームメートやファンの祝福がうれしい。それがなかったら何もたいしたことはない」と、この記録を一つの通過点でしかないと述べ、「常に笑われてきた歴史、悔しい歴史が僕の中にある。これからもそれをクリヤしていきたい」と、野球界での多くの金字塔をうち立てた原動力を述べましたが、淡々と、しかし言葉を選びながら真剣に語る姿を見ながら、私はお釈迦様のお言葉を思い出しました。

 「犀の角のようにただ独り歩め」

 この言葉を、仏教学者の中村元先生は、「犀の角が一つしかないように、道を求める者は、他の人々からの毀誉褒貶にわずさわされることなく、ただひとりでも、自分の確信にしたがって暮しなさい」と解説されています。

 「独りで歩め」とは、周囲のことはかまわず一人で脇目もふらずとか、一人ぼっちでとか、自分さえよければいいというような意味ではありません。

 お釈迦様は、慈しみと平静とあわれみと解脱と喜びとを時に応じて修め、世間すべてに背くことなく」と言葉を添えられます。

 周囲に対し慈しみと穏やかさの心を寄せること、そして目的を達成する喜びを時に応じて味わい、世間から様々な声があろうともそれに表だって背くことなく、目標に向かって真っ直ぐ静かに歩みなさいということでありましょう。

 イチロー選手の記録達成の裏には、弛まぬ努力はもとより、心と体のしなやかさがありますが、お釈迦さまの「犀の角のようにただ独り歩め」という言葉にも、仏法によるしなやかな人生の勧めが表されています。

固定リンク | 2016年06月17日【263】

6月1日〜悲劇起きる可能性を減らすために

 お寺の境内には、さわやかな初夏の風が吹いています。

 さて、先月二十七日、アメリカのオバマ大統領が戦後七十一年にして、被爆地・広島を訪問し、献花の後、演説を行いました。

 オバマさんは、被爆地・広島という所は、「私たちが内省し、私たちが何者なのか、これからどのような存在になりえるのか」を、被爆者の魂の声を聞かせていただき深く考えるところだと言います。

 戦争はなぜ起こるのか。それは人間の持つ欲望や、相手の立場や考え方を理解することのない偏った思想、また相手を支配や征服したいという本能があるからだと述べます。

 そして原子力爆弾こそが、最も人間性の中にある根本的な矛盾を突きつけるものだと。

それは私たちの考えや想像力、言葉、道具を作る能力、自然を自らと区別して、自らの意思のために変化させる能力といったものこそが、とてつもない破壊能力を私たち自身にもたらしたからだと言います。

 人間の生活を豊かにするはずの科学の進歩が、同時に効率的な殺戮の道具に転用されて、計り知ることのできない犠牲者を出してしまいました。

 演説はこの後も続きますが、オバマさんが語る内容と、私どもが常々聞かせていただく仏さまの教えと、平和といのちの尊さを願う点では変わりはありません。

 オバマさんは、「すべての命は尊いという主張。私たちはたった一つの人類の一員なのだという根本的で欠かさない考え」を、私たち全員で伝えていかねばならないと語ります。

 身近なところから核廃絶を語りましょう。身近なところから命の尊さを唱えましょう。

オバマさんが言うように、たゆまぬ努力によって、悲劇が起きる可能性を減らすことはできます。

固定リンク | 2016年06月01日【262】

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