こころの電話

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6月16日〜ともに仰ぐ指標を持ちながら

 雨に濡れたカキツバタがいっそう輝いて見える季節です。

 さて先日、知人のお寺のご住職のお話を伺いました。

 ある日、そのご住職がご門徒宅でお勤めを済ませて、歩いてお寺に帰る途中、数人の小学校低学年の女の子が、地面を這うようにして捜し物をしていました。

 ご住職が「何を探してるの」と尋ねると、「四つ葉のクローバーを探しているの」と答えたそうです。

 「四つ葉のクローバーを見つけてどうするの」と重ねて聞くと、口を揃えて、「幸せになれるのよ」と答えたそうです。

 女の子たちが求める「幸せ」という言葉に興味を持ったご住職は、一緒にクローバーを探しながら、「あなたたちが幸せを感じる時ってどんな時」と聞くと、その中の一人の子が当たり前のような顔をして、「ナモアミダブツと、仏さまにおててを合わせている時だよ」と答えたそうです。

 思いがけない返事にご住職は驚きました。そして、その訳を聞いてみると、その子の家庭では、夕食前に必ずみんなそろって仏さまにお参りをするとのことでした。

 そして、最後にお母さんが、「今日もみんな元気で一日が過ごせて幸せでした。有り難うございました。ナモアミダブツ、ナモアミダブツ」と一緒に言ってから、夕食が始まるのだと、教えてくれたそうです。

 「親の姿を見て子は育つ」とはこのことでありましょう。

 「毎日、夕食前には家族そろって仏さまにお参りをする」という繰り返しの中から、その女の子は親の姿を通して、とても大切なことを学び、大きな幸せを感じていたのです。

 「幸せ」とは他人の境遇と自らを比較して感じるものではありません。そして、本当の「幸せ」とは、いかに時代が変わろうとも決して変わることなく、私のすべてを支えてくださる尊い教えに出遇うことかも知れません。

固定リンク | 2018年05月31日【310】

5月16日〜人間にしかできないことを…

 ホトトギスの忍び音に、夏の到来を感じます。

 さて先般、自動運転装置のついた車を初めて運転する機会がありました。

 高速道路で速度を設定すれば、あとはハンドルに手を添えてさえいれば、車は道なりに一定の速度で走ります。渋滞で前方の車が徐行、あるいは停止すれば、まるで人間がブレーキを踏んでいるかのように、徐行し止まります。

 駐車場でボタン一つ押すと、車は勝手に周囲を判断し、ハンドルが勝手に回って、まるで透明人間がいるかのように、車は白線内に収まります。

 その性能の高さに驚くとともに、人がやるべき事まで車が自動でやってくれるので、この便利さがさらに進めば、人は次第に退化していくのではないかと、少し不安も感じました。

 一方、先日、今話題のAI・人工知能の開発者の新井紀子さんの本を読みましたが、今現在、センター試験の上位二十%内に入るほどに開発された人工知能は、これまで人間がしてきた多くの仕事を、今後人間に代わってするようになるだろうと予測されます。

 新井さんは、これからますます進む人工知能の社会にあって、人間にしかできないことを大切にすべきで、そのために、様々な状況に応じて適切な判断ができる人、読解力のある人を育てることが大切だとおっしゃいます。

 そして幼児期から、何でもかんでもそろった環境に子どもを置くのではなく、少し不便な環境、何か不満があるけど、少し工夫して頑張れば解決できるような環境で、過ごすことが大切だと教えてくださいます。

 便利、簡単、スピードの社会は、本来人間が持っているものまで次第に奪ってくのかもしれません。

 「人は自然に帰れ」といわれて久しいですが、幼い頃から様々な体験をし、時には危機感を覚え、工夫をし、経験を重ねる中で様々な状況に応じることのできる、そんな人間が今後ますます必要となるようです。

固定リンク | 2018年05月17日【309】

5月1日〜残された人のためにあるのかも…

 風薫る季節です。

 さて、先日テレビでシンガーソングライターの有坂愛海さんが、亡くなったファンのために行った追悼ライブの模様が放送されていました。

 有坂さんは、テレビに頻繁に出演するような歌手ではなく、熱烈なファンに支えられて地道に歌手活動を行っている若い女性で、この度、追悼されたのは、十年間、彼女のすべてのライブに来場し、ファンとして支えた五十五歳の「おっきゃん」とファン仲間から呼ばれた男性です。

 この男性には家族がなく、昨年、自宅で一人で息を引き取りました。

 彼がしばらく姿を見せなくなったことに不安を感じた有坂さんは、本名を頼りに自宅を突き止め訪ねた時に初めて、近所の住人から「おっきゃん」が亡くなったことを知らされ、葬式が行わなれなかったことを知った彼女は、「みんなで集まって故人の思い出話を話す日がないと、寂しすぎる」とお別れ会を行いました。

 有坂さんは、ネットで思いを綴ります。「来年はいないなんて全く思わなかった。去年はいたのに今年はいないお花見」、「おっきゃんは有坂現場に不可欠な人だったのに」、「追悼ライブなんだし、フロアにいるわけない…でも探しちゃう」、「いるかもしれないけどもう会えない、触れられない、話せない。だって、それが『死』なんだ」。

 そして彼女はこう言います。「お葬式とかお別れの会って、残された人のためかもしれないです。特定の宗教に思い入れがないけど、お坊さんがお経をあげて、お焼香してお花をそえて、サヨナラをして、近しい人が煙になったのを見て、『こんな人だったね』と楽しかった話なんかをみんなでご飯を食べながら話して…。折にお墓に会いに行ったりして。それって気持ちの区切りのために必要な事だ」と…。

 若い一人のシンガーに、人間がお葬儀を勤める大切さを、あらためて教えられたような気がします。

固定リンク | 2018年05月01日【308】

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