11月1日~ 植物も、人も同じように…
秋本番、日本名は「秋桜」、コスモスの花が咲き始めました。
さて、この季節は、私にとって大変忙しい季節です。それは、趣味の園芸植物のオモトを生け変える時期で、数十鉢あるその作業には結構な時間と労力を要するからです。
しかし昨年、私はこの「オモト」を育てるのに、大失敗をしてしまいました。
オモトは、一年ごとに変わる葉っぱの模様を楽しむ観葉植物ですが、その新しい芽が出てくるのが五月くらいです。
新しい芽が出ると、その芽に十分栄養が行くように、芽の横にある花のつぼみを切り取る作業をしなければなりません。
昨年のこと、たくさんある鉢の中で、一番美しい模様が出そうな二つの鉢から、新たな芽が出たので、私は急いで花を切り取る作業をしたのですが、その途中、カミソリの刃先がかすかに芽に触れてしまい傷をつけてしました。すると、それ以降、その二つの鉢のオモトの芽は出ることはありませんでした。
私は、誠に残念な思いをすると同時に、よく教育の現場で言われる「芽を摘む」とは、まさしくこういうことだと実感させられました。
一年間栽培をしてきた私の心の中には、「早くきれいな葉の模様が見たい」という一方的な期待と欲がありました。仕事が忙しい合間を縫っての作業なので、急いで済ませなければという焦りもありました。作業を先にしなければならないほかの鉢があったのに、そちらには目を配ることなく、いまだ作業の時期に来ていない鉢から手をつけてしまいました。結果、二つの鉢の芽を見事に摘んでしまったのです。
子育てや教育、また職場での人材育成も同様のことが言えるのではないでしょうか。子どもが育つ、人が育つには、時期があります。タイミングがあります。植物に栄養を与えるには時期があるように、子どもや人を指導・助言するのにも時期があります。また教える側、育てる側が一方的な期待や勝手な思いをもってしては、人は育ちませんし、せっかくの芽を摘んでしまうことになりかねません。
植物も、人も同じこと、よくよく心したいものです。
2007年10月31日【59】