10月15日~ カルトの見分け方は…
朝夕の冷え込みが厳しく、秋冷という言葉が似合う季節となりました。
さて、長野県の宗教法人内で、六十三歳の女性が殺されるという事件がありました。
十五歳から八十歳の会員二十一名による集団暴行という報道で、この団体は普段から、あらゆる病気が治るとのふれこみで、高額な水を販売していたそうです。
事の真偽はこれから明らかになるでしょうが、オウム真理教をはじめ、宗教団体にかかわる事件が起きると、「宗教とは怖いもの」、「宗教にかかわらない方がいい」という社会的な風潮が起きます。宗教にかかわる者として、誠に残念に思います。
理性を失うほどに信じ込み、異常なまでに信じ込む宗教教団のことをカルト教団といいいますが、朝日新聞「こころ」編集長の菅原伸郎さんは、このカルトの見分け方について、その教団に入退会の自由があるかどうか、お金をどれほど取る教団か、その教団の中に言論の自由、つまり教えについて自由に論議でき、その内容を公開できているかどうか、この三つを挙げておられます。
そして、宗教は「信じるもの」ではなくて、人間の本来の姿に「気づくもの」「了解するもの」といわれ、これから社会を担う子どもたちが通う学校で、人間の絶望とか、死ということについて、もっと教えるべきであると言われます。
学校においては、普段、私の夢とか、希望とか、未来ということについてはよく教えますが、人間の絶望とか、死とかはあまり教えません。しかし、仏教の開祖であるお釈迦さまは、この世に生を受けたならば必ず老い、必ず病で苦しみ、必ず死なねばならないのが人間の現実であるということを諭されました。
菅原さんは、夢や希望や未来も大切ですが、若いときから人間の死ということを、自分のこととして考えることができる人間を育てていかねばならないとおっしゃっています。
まずは、身近なところから…、ご家庭で子どもも含めて話し合う機会を持つことも大切ではないでしょうか。
2007年10月16日【58】