4月1日~世界は見えないものだらけ
新たな元号「令和」が制定されました。「一人一人が明日への希望とともに、それぞれの花を大きく咲かせられる日本でありたいとの願いが込められているとのことですが、そのような時代になるよう願ってやみません。
先般、NHKのラジオで、北海道・美瑛町美宙天文台長の佐治晴夫さんのお話を伺いました。佐治さんは理論物理学者で、1970年代に打ち上げられた宇宙探査機ボイジャーにバッハの音楽を乗せること提案したことで有名な方です。
佐治さんは、現在は○○ファーストの時代と言って戦争にもつながる危険な考え方が横行しているが、それは相互依存の関係、私たちはお互いに支え、支えられなければ存在できないという意識の欠如から来ていると言われます。
佐治さんは、番組の中で金子みすゞの「星とたんぽぽ」という詩を紹介されました。
青いお空のそこふかく、海の小石のように、夜が来るまでしずんでる、昼のお星はめにみえぬ。見えぬけれどあるんだよ、見えぬものでもあるんだよ。
ちってすがれたたんぽぽの、かわらのすきに、だァまって、春のくるまでかくれてる、つよいその根はめにみえぬ。見えぬけれどもあるんだよ、見えぬものでもあるんだよ。
私たちは普段、すべてのものを自分で見て分かったような思いでいますが、佐治さんは、世界は見えないものだらけ。現在の宇宙論から言うと、見えるものは5%くらいと言われます。
私たちは、その目には見えない多くのものに支えられ生かされていることを見失いたくはありません。
広い宇宙から見れば、小さな地球の中の、日本の一つの元号が変わることなど、取るに足らないことかもしれません。しかし同じ次代、同じ地球・日本に住む私たちが、その共に支え支えられ、共に生かされている存在であることに心をいたすとき、「令和」の願いも深まることでありましょう。
2019年04月03日【332】