10月1日~思いやりと力添えによって…
食欲の秋、「お茶は七分、食事は八分、お酒は一杯」という諺があります。暴飲暴食に気をつけましょう。
さて、九月末、幼稚園の職員のお父さまがお亡くなりになったので、若坊守とともにお葬儀に参りました。
急なご逝去ではなく、お倒れになって長い間、ご家族皆によるあたたかな看病の末だったことを存じていました。また、長年住み慣れたご自宅での葬儀でしたので、愁傷の中にも、何となく安堵の雰囲気漂うお葬儀でした。
私たちは夫婦は、庭の特設テントの最後列に座りましたが、困ったことに、その最後列だけ強い日の光が差し込んでいました。しかしどうすることも出来ません。私たちは、頭から背にかけてさんさんと日が降り注ぐ、とても暑いお参りとなりました。
お葬儀の途中で、急に涼しくなりました。それは、「暑くて大変でしょう」と、二人の女性が日傘を持って私たち夫婦の後ろに立ち、日射しを遮ってくださったからでした。
「有り難うございます。でも、無理をなさらないでください」と言ったのですが、最後まで日射しをしのいでくださり、お蔭で私たちは、何とも有難い思いでお参りをさせていただきました。しかし、お二人は、背中から足下にかけてとても暑い思いをされたはずです。感謝とともに大変申し訳なく思いました。
昨今、お葬儀の多くは、葬儀社の会館で行われるようになりました。駐車場も会場も万全。イス席で冷暖房完備、ほとんどの手配は葬儀社の方々が行い、とても便利で、大変な思いをすることもなくなりました。
それはそれでよいことですが、昔ながらの自宅での葬儀にもすばらしいところがたくさんあることに気づかされます。地域の人たちが朝から集まって炊き出しや案内誘導をしたり、亡くなられた人にご縁があった方々が、皆で手を携えてお送りをするすばらしさがあります。不便な中にも、お互いの思いやりや力添えにによって、あたたかで有意義なお葬儀になることを知らされます。
何よりもお喜びなのは、長年住み慣れたご自宅、そして地域から、ご縁のあった皆さんによって見送られるお父さまでありましょう。
2006年10月02日【33】