10月1日~強ければ強いほど…
台風二十四号が過ぎ去っていきました。久しぶりに大きな台風で、お寺の本堂も強い風にミシミシと音を立てながら必死に踏ん張っているようでした。
台風と言えば気になるのがその進路です。太平洋で発生し次第に大きくなりながら日本に近づいてきますが、近づくほどにあの扇状の進行方向が気になり出します。
運動会や身内の結婚式や法事など、大切な行事を予定している人は、どうかその日に台風が来ないでほしいと願うことでしょう。
農作物を育てている方は、どうか悪い影響が及ばないようにと、台風がそれることを願うことでありましょう。農業を生業とされている方は当然のことです。
家族や会社で旅行を計画されている方も、どうかその日に来ないように、あるいは台風の進路がその旅行先を避けるように願うことでありましょう。
台風が強ければ強いほど、進路が自分の所に向かうほどに、その気持ちは強くなります。
しかし顧みると、その自分の都合によって、台風が自分の所へ来ないように、あるいは他の地域にそれるようにと思う時、人は、その自分以外の人々や地域に心を寄せてはいません。
運動会や結婚式や法事など、自分が大切な行事を抱えているように、他の地域でも同様の方がおられます。
自分と同様に農作物を大切に育て、それを生業とされている方が他の地域にもおられます。
きっと他の地域でも、家族旅行や社員旅行を楽しみにしている方がおられるでしょう。
自分の都合だけでなく、自分以外の人々や地域に思いを寄せる時、あの扇状の進行方向の見方も考え方も変わってきます。
そのことをお釈迦さまは、「すべてのことを我が身に引き当てて生活をすることが大切です」と諭されています。
2018年09月30日【320】