12月1日~し続けることの大切さ
早いもので、今年も残すところあと一ヵ月となりました。
さて、お寺といってイメージされるものの一つにお布施というものがあるかもしれませんが、このお布施の本来の意味は、他人にほどこし与えるという意味で、それもお金やものに限らず、人が幸せになるための教えや、安心を与えることも含みます。
先日、深夜のラジオに初代仮面ライダーのヒーロー役で有名な藤岡弘さんが出演されていました。
藤岡さんはこれまで、一〇〇カ国以上の紛争地や被災地に出向き難民の、特に子どもたちへの支援活動をされてこられたそうです。紛争地では、地位やお金や物は一切通用しない。皆が生きるために必死で、日本から送る物資も思うように届かないので、藤岡さんをはじめとする有志で現地まで届ける活動をして、三〇年以上になるとのことでした。
そのような活動をする原因となったのが、一つは仮面ライダーのヒーローを演じた若いとき、様々な福祉施設を訪問して、子どもたちがヒーローを前にしてとても喜こび、生きる希望を持ってくれたことでした。
そして原点とも言うべきものは、藤岡さんのご両親、特にお母様でした。
藤岡さんは四国・愛媛県の駐在所で生を受け、お母さんはいつも道行くお遍路さんやお坊さんに、ふかし芋やトウモロコシやお茶を用意してほどこしをし、藤岡さんはいつも、そのお母さんの姿を見て育ったそうです。
果物の柿は、木の上に成る実は鳥や動物が食べる。落ちた柿は虫たちが食べる。人間は木の中間に成ったものを取り、その中でも大きい実をお遍路さん方に差し上げるものと聞かされたそうです。
幼い藤岡さんが時に過ちを犯すと、お仏壇の前に座らされて、お母さんは真剣に涙を流しながら、仏さまにお詫びをしなさいと叱られたそうです。
藤岡さんのいたわり、思いやり、慈しみ、感謝の心を育てたのは、まさにこのお母様の日々の姿でした。
布施とはほどこしの心、いつでもどこでも、し続けることの大切さを学ばせていただきました。
2017年11月29日【298】