12月16日~ともに仰ぐ指標を持ちながら
今年も後残すところ半月となりました。
さて毎年、京都の清水寺で行われる「今年の漢字」、二〇一七年は「北」という文字でした。
その理由で多かったのは、弾道ミサイル発射や核実験強行など世界に脅威を与えた北朝鮮の行為、九州北部豪雨による被害、天候不順で北海道産ジャガイモが不足し、ポテトチップスの一部が販売中止に、プロ野球・北海道日本ハムの大谷翔平選手が米大リーグに移籍したことなどでした。
清水寺の森貫主は「『北』という漢字は二人が背を向けている姿を表している」と感想を述べておられましたが、まさしくそれは金正恩氏とアメリカのトランプ氏でありましょう。
おおよそ人と人の間で、互いの向き方に三つあります。「互いに背を向ける」、「互いに向き合う」、「互いに同じ方向を向く」の三つです。
最初の「互いに背を向ける」は、それぞれ反目し合うか無関心、てんでばらばら勝手な方に向いており、話し合う余地も心の通じようもありません。まさしく「北」の字の状態です。
二つ目の「互いに向き合う」は、向き合ってこそ話もはずみますが、時に対立や諍いになることもあり、すべてがわかり合えるとは限りません。しかし、ある程度理解し合え心の扉は開きます。
三つ目の「互いに同じ方を向く」は、それぞれの考え方や意見は違っても、互いに認め合い許し合いながら、ともに仰ぐ指標を持つ、よりよい基本的な姿勢です。
いつまでも背を向けていては相手はおろか自国の中にまで歪みが出てきます。また一度争いになれば、犠牲になるのは一番弱い子どもや女性たちです。お互いに地球全体の平和という指標を仰ぎながらの言動と行動を願いたいものです。
今年も覺照寺テレホン法話をお聞き下さり、有り難うございました。
次回は、二〇一八年一月一日にお話が変わります。皆さまよいお年をお迎え下さい。
2017年12月17日【299】