9月16日~自分の大切なこととして…
大きな台風が九州に向かっています。災害が起きないことを切に願います。
さて昨日、ご門徒のFさんがお寺に来られました。Fさんは、近々お嬢さんをお嫁さんとして見送らねばならないお母さんです。
いろいろとお話をする中で、「先日、『覺照寺だより』に書いてあった『念仏行者の詩に学ぶ』というお話を、娘と繰り返し繰り返し読ませていただいて、大切なことだとつくづく思いました」と、話されました。
そのお話とは、長野県より一人の若い女性が広島県の紡績工場に勤めるために集団就職列車で出向き、広島の町でお寺に参るご縁を得て、お寺参りを重ねるうちにお見合いの話をいただき、やがて結婚することになりました。
そして、お嫁さんとなったその若い女性が、嫁ぎ先の姑さんから頂いた詩が「念仏行者のたしなみ」という詩です。
お念仏をいただくものはまず慎みが第一です。心の底に煩悩を抱えた人間は、縁がもよおせばどのようなことを考え、どのようなことを言うかわからない恐ろしい存在。悲しい傷つけ合いや争いはまず口から始まります。自らの愚痴、不平、不満、暴言、失言が他人を傷つけ苦しませ、果てはそれは自分に返ってきます。
南無阿弥陀仏のお念仏をお称えする念仏者の口であるからこそ、その点を十分に注意して日暮らしをしましょう。
おおよそこのような内容が詠ってあるのですが、息子さんにお嫁さんを迎えた姑でもあり、この度娘をお嫁さんとして送り出すお母さんであるFさんは、「家に来たお嫁さんとも仲良く生活したい。お嫁に行く娘も先方のご家族と仲良く生活してほしい。そのご縁を大切にするための指針となるお話ですね」とおっしゃいました。
仏さまの教えは、他人事として聞いてはいつまでもわが心に届きはしません。
自分の人生のこと、自分のいのちに関わる大切なこととして、聞いたときにそのはたらきが心に届きます。そのことをFさんは教えてくださいました。
2017年09月16日【293】