9月1日~宗教は違えども感謝の心を…
朝夕は少しずつ涼しくなり、次第に秋めいて参ります。
秋は野菜や果物、お魚がたくさん捕れる実りの季節ということから、食欲の秋とも言われますが、お寺のこども園や幼稚園には、「食事の言葉」があります。
「多くのいのちとみなさまのおかげにより、このごちそうをめぐまれました。深くご恩を喜び、ありがたくいただきます」。また食事の最後には、「尊いおめぐみをおいしくいただき、ますます御恩報謝につとめます。おかげでごちそうさまでした」。
子どもたちや先生方は毎日、お食事を頂くときには合掌し、多くのいのちと、食事ができるまでにご苦労いただいた多くの方々へ感謝をしつつ、この言葉をお唱えしてから頂きます。
ただ頭で思うだけでなく、感謝の気持ちを合掌という姿で表し、実際に口でお唱えするという習慣はとても大切なことです。
数年前、お寺の仏教婦人会会員の娘さんが、短期間のホームステイでアメリカに行かれました。
アメリカの一家庭に日本人三名ずつでお世話になったのですが、行ったその日に、そのお宅の家族全員で歓迎会をしてくださいました。
テーブルに皆が座り、いよいよ食事をというときに、そのお宅のお母さんが神さまへの感謝の言葉を述べられたそうです。
当然英語ですので何を言われているのかわかりませんでしたが、その仏教婦人会会員のお嬢さんは、わが家でも毎日「食事の言葉」を言っていましたので、宗教こそ違えども感謝の心には変わりないと、一緒に合掌して感謝したそうです。
あとの二人のお嬢さんは、ご家庭でそういう習慣がなかったのでしょう。その神聖な場の意味がわからず、思わず吹き出してしまい、後からそのお宅のお母さんから注意を受けたそうです。
宗教は違えども、今日私が頂くいのちに感謝し、そのために働いてくださった多くの方々のご苦労に真摯に感謝することは、一人の人間として忘れてはならないことでありましょう。
2017年09月01日【292】