3月1日~忙しい時期だからこそ
朝夕はまだ冷たいのですが、日中は少しずつ春めいてきました。
さて、いよいよ年度末に入り、何かと忙しい時期になりました。
「忙しいという字は、心が亡びると書くので気をつけましょう」と、よく言われるのですが、人は心が失われていくと、それが様々な場面で表に出てしまう動物なのでそう言われるのでありましょう。
言葉、言動も、普段から周囲の人には正しい言葉づかいで、丁寧にやさしくと思いながらも、人は忙しい環境になると、つい荒々しく早口になってしまいますし、自分の思い通りにいかないことがあると、愚痴や不平不満が次々に出てきます。
行動も同じようなことが言えます。周囲の人にはやさしく笑顔で接することが大切なのはわかっているつもりなのですが、忙しくなるとつい怒りっぽくなり、眉間にしわを寄せて、丁寧に接することが出来なくなってしまいます。
心が亡びるとは、自分のことばかりにとらわれて、周囲の方々に対する自らの有り様を、顧みるはたらきが失われたことを言うのかもしれません。
そのような私たちのために、先人方は、朝夕のお仏壇へのお参りを勧めてくださいました。
朝起きて朝食の前に、お仏壇の前で合掌し、心を落ち着かせてお念仏をお称(とな)えしましょう。夕食前に、今日一日の自らの言動や行動をふり返るとともに、皆さまのお陰で一日を過ごさせていただいたことに感謝し、お念仏をお称えしましょう。
お念仏が口から出ている間は愚(ぐ)痴(ち)も悪口も出ることはありません。また仏前で合わさった心と手は、周囲の人に辛く当たったり傷つけることはありません。
忙しい一日の中で、少しの間ではありますが、とても貴重な時間を過ごさせていただくことができます。
普段からのお参りはもちろんのことですが、忙しい時期だからこそ、特に大切にしたい時間であります。
2017年03月03日【280】