2月1日~生まれ変わるなら…。
毎日、大変寒い日が続き、朝の鐘をたたく手も悴みます。
さて先日、あるお寺の掲示板で、面白い言葉を目にしました。
「生まれ変わるなら、どうぞ、生きているうちに」という言葉です。
生まれ変わると言うのなら、一度死ななければなりませんが、生きているうちに生まれ変わるべき、と問いかけているのです。一見すると変な言葉です。
もし「もう一度生まれ変わるなら」と問われたなら、「お金持ちの家に生まれたい」とか、「男性に、あるいは女性に生まれ変わりたい」とか、「かわいい動物ならいいけれど、虫はイヤだ」とか、人によって様々な答えが出てきます。
しかしここで言う「生まれ変わり」はそういう意味ではなく、宗教の世界の「救われる」ということと関係がありそうです。
「救い」の意味を辞書には、「力を貸して悪い環境・困難・危険・苦痛な状態から逃れさせる。また悪いもの、悪くなりそうなものを正しく良い方に向ける。さらには精神的な安定や悟りの境地に導く」とあります。
また一般に、仏さまや神さまから救われるというと、願ったり祈ったりすることによって、それに対するご褒美をもらったり、自分の思い通りの境遇にしていただくことと思われがちですが、それは引き換えや打算的な考えであって、まことの救いとは言えません。
仏さまのまことの救いとは、仏さまの真実の教えによって自分自身のまことの姿に気づかされ、悩みや苦しみ多き人生を乗り越えて心豊かに生きていく、生き方に目覚めさせていただくことであります。
「仏さまに救われるとは、生き方が変わること」と言われた方があります。
仏さまの教えを重ねて聞いていくうちに、それまでの自分の価値観とは違った物事の見方、考え方、受け止め方、そして新たな生き方に恵まれるということであります。まさに冒頭の言葉の「生まれ変わる」とは、この「生き方が変わる」ということでありましょう。
ですから、生きているうちでなければならないのです。
2017年02月16日【279】