2月16日~鬼は外、福は内という生き方は…。
今年もインフルエンザが流行しています。手洗い、うがいを心がけたいものです。
さて、今月三日は節分でした。「鬼は外、福は内」と大きな声を出しながら福豆を撒いて、厄除けを行う光景がテレビで放送されていました。
これは、季節の変わり目には邪気が生じると考えられており、それを追い払うために、昔、宮中でされていたものが一般化して残ったものです。
一見すると、楽しくほほえましい風景で、また伝統行事ですから大切にすべきかもしれませんが、お念仏のみ教えを聴聞されるご門徒の多くは、昔からその行事を行おうとされませんでした。
それは、「鬼は外、福は内」という生き方に問題意識を持っておられたからだと思います。ここでいう鬼とは、自分にとって都合の悪いもの、逆に福は都合のいいものを指しています。
先輩念仏者の方々は、自分にとって都合の悪いものは外に、都合のよいものは内にという自己中心的な人間の有り様を、常々、自らの生き方の中に問うておられたからだと思います。つまり、本当に怖い鬼は外にいるのではなく、自分自身の心の中に住んでいるということです。
私たちは、自分にとって都合のいい事柄や得をすること、自分の思いに賛同してくれる人はすぐに取り込もうとします。逆にそうでない事柄や損をすること、自分の意見に反対する人は避けようとします。
自分さえよければいいという思いは、裏を返せば他人はどうなってもいいという姿勢に他なりません。まさに鬼の姿です。
仏様のお心は、自他共に分け隔てなく、平等に救ってくださる世界です。その智慧の光に照らされたとき、私たちは初めて自らの恥ずかしい有り様に気づかされます。そして、その真実の教えに導かれたときに、まことの生き方が開かれてきます。
それは、仏法聴聞を重ねるところに開かれる世界です。
2013年02月16日【186】