3月1日~タンポポのように力強く
三月は別れの季節。各学校では卒業式の準備が始まります。
さて、日の光や雲の様子には春らしさを感じるこの頃ですが、時代とともに道路は整備されて、幼い頃、春先に目にしていたタンポポをすっかり見なくなりました。
仏教詩人の坂村真民さんは、このような詩を詠んでおられます。
タンポポのように強く生きよう
踏みにじられても
食いちぎられても
死にもしない
枯れもしない
その根強さ
そして つねに
太陽に向かって咲く
その明るさ
わたしはそれを
わたしの魂とする
私たちの人生は、いつどこでどのような苦難に遭うか、予想もしない不幸が待ち受けているか分かりません。
坂村さんは、そのような人生の厳しい岐路に立たされたとき、逃げるのでもなく、諦めるのでもなく、避けるのでもなく、すっくと前を向いて立ち上がる姿を、タンポポの花に見ておられます。
わたしが大切だと思うのは、その力強いタンポポが常日頃、根を張っている大地があるということです。
タンポポが踏みにじられようとも、食いちぎられようとも、その根を力強く包み支える大地があるということです。
親鸞聖人は、その根っこを人間のいのちに喩え、その私たちのいのちを包み支える大地が仏さまの願いであり、お念仏のみ教えといただかれました。
いかなる苦難があろうとも、それを乗り越えていく道がある。タンポポのようにその大地にしっかりと根を張って、仏さまの願いとその教えを拠り所に力強く生きる。それが浄土真宗の仏道です。
2013年02月23日【187】