3月1日~一人ひとりの問題として…
ようやく春の気配を感じられるようになりました。
さて、今月十一日で、昨年発生した東日本大震災から一年を迎えます。
日本の観測史上最大規模のマグニチュード九,〇を記録した大地震は、その津波によって多くの被害をもたらしました。被災された皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。
さらに大津波は、東京電力福島第一原子力発電所に被害を与え、大規模な放射能漏れ事故を起こし、現在でも多くの住民が避難生活を余儀なくされています。
また、大量の放射性物質が大気、土壌、海洋の環境に影響を与え、農林水産物の汚染による健康被害が懸念されています。
さらに、各地の原子力発電所の稼働停止による電力不足が問題となり、電力の安定供給に向けて代用発電所の稼働対策が喫緊の課題です。
西本願寺の大谷光真御門主様は、親鸞聖人七五〇回大遠忌法要の御満座のご消息にて、「原子力発電所の事故は、自然の調和を破り、後の世代に大きな犠牲や負担を強いることになりました。これは肥大した人間の欲望のもたらしたところであります」とお述べになりました。
この度の原発事故は、東京電力や国策としてそれを推進してきた国の責任が問われるべきでしょうが、忘れてはならないのは、この問題を私自身の問題として受け止めることの大切さです。
この日本を揺るがす大きな問題が起きるまで、私たちは毎日、少しでも便利に、簡単に、そして何事も早く…という生活を送ってきました。
人間は、少しでも楽で快適な生活をすると、さらに楽にもっと快適にと、それには限りがありません。
その私たちの生活の有り様と原発事故とは決して無関係ではなく、今こそ私たち一人ひとりの問題として、真剣に受け止めることを諭されています。
毎日の日暮らしの中で、私自身に何ができるでしょうか。大震災から一年を経た今、あらためて自らに問いかけるべき大切な課題であります。
2012年03月03日【163】