12月1日~この危機的状態にあって…
早いもので、今年もあと一ヵ月となりました。
さて、十一月二十三日、韓国の延坪島周辺に北朝鮮が砲撃し民家が炎上、韓国軍の兵士二人と民間人二人の計四人が死亡、十九人が重軽傷を負う痛ましい事態となりました。
韓国軍の現場海域での軍事演習に対するものですが、民間人の居住地域と分かりながら砲撃する北朝鮮の行為に、強い憤りを覚えずにはおられません。
また、「世のなか安穏なれ」と願われた親鸞聖人の大法要を来年に控えたこの年の暮れに、このような争いが起きたことを誠に残念に思います。
韓国の李明博大統領はテレビ演説で、「北がさらに南を挑発すれば、必ず応分の対価を払わせる」と語り、米韓の合同軍事演習も始まって、さらに緊張が高まっています。
北朝鮮の乱暴な行為は、国際社会から非難されて当然のことですが、この危機的状態にあって、韓国をはじめ近隣諸国には冷静な対応を心から願いたいと思います。
そして、被った応分の対価を、その憤りを、武力を持って返すことだけは、人類のこれまでの歴史的経験とその英知を持って慎み控えてほしいと思いますし、私たちもそのような過激な思いに駆られぬよう心したいと思います。
お釈迦さまは、「すべてのものは暴力におびえる。すべての生き物にとっていのちは愛おしい。おのが身にひきくらべて、殺してはならぬ、殺させてはならぬ」と人々を諭されました。
また、「もろもろの怨みは怨み返すことによっては、けっして鎮まらない。もろもろの怨みは怨み返さないことによって鎮まる。これは永遠の真理である」とも諭されました。
今この時に、この言葉を心深く刻みたいと思います。
2010年11月30日【133】