11月16日~チリ作業員の方々の教え
今年もインフルエンザが出始めました。予防接種はお済ませでしょうか。
さて、十月十三日、チリにおいて、六十九日ぶりに地上への生還を果たした作業員三十三人の「奇跡の救出劇」から約一ヵ月がたちました。
当初は救出には三ヵ月もかかると言われ、地下七百メートルに閉じ込められた方々の安否を、世界中の人が祈るような思いで心配しました。
幸い救出作業が急ピッチで進み、いよいよ最初の人が救出されるときには、世界中の人が息をのみ、そして感動に包まれました。
多くの情報が飛び交う今日、一ヵ月もたてばもう遠い懐かしき思い出のようです。
あの事故で、なぜ三十三人全員が助かったのかということについて、先日、テレビで事故の専門家が分析していました。
一番目に、あの深さで仕事をする作業員は、自分たちにいつ何が起きるかわからないという、心の準備ができていたということ。
二番目に、常に落盤の危険にさらされる仕事で、万一の時、自分たちはとっさにどういう行動を取ればよいか、普段より体の準備ができていたということ。
三番目に、助ける側も助けられる側も、いざという時、寄る辺とするところ、シェルターの場所を確認していたということ。
彼らが助かった原因を分析すると、この三つのポイントが挙げられるそうです。
せっかくです。このポイントを自分の日常に当ててみてはいかがでしょう。
仏教では、人生は無常、いつどうなるか分からないいのちを、今の今生きていると教えます。あなたは心の準備はできていますか。
また、そのような不確かないのちの現実を抱えて生きる私たちです。あなたにとって大切な一日一日、何が一番大切なことでしょう。
そして、いざという時、あなたのいのちの帰る世界がありますか。あなたを待ってくださる方はいらっしゃいますか。
チリの作業員の方々は、とても大切なことを教えてくださっています。
2010年11月15日【132】