5月15日~いま、生きている不思議
五月も半ば、日本では心地よい風が吹いていますが、世界では大変な災害が起きています。
ミャンマーでは、超大型のサイクロンが直撃し、四万三千人以上の人が亡くなり、約二万八千人がいまだ行方不明です。中国の四川大地震では、死者が五万人を越えると言われています。行方不明者や生き埋めになっている人がいまだ多くいるのに、世界からの救援をかたくなに拒む両国の姿勢に憤りを感じます。
これらの災害発生をテレビで初めて知ったとき、私は今から十三年前、平成七年一月十七日、午前五時四十六分に起きた阪神・淡路大震災を思い出さずにはおれませんでした。
私は、西本願寺鹿児島別院の職員として直ちにお見舞いと救援に参りましたが、観光地・あの美しい神戸の町が一瞬のうちに崩壊し、ご遺体が次々に掘り出され運ばれる姿を目の当たりにしました。
ご遺族が、「あまりにもの突然のことで涙も出ません」と言われ、被災者のお葬儀に着の身着のままで参列された方が、「いま生きているのが不思議でなりません」と言われた言葉が思い起こされます。
そして、周囲の方々から助けられた被災者が、「今さらながら、人間ってあたたかいな」とおっしゃった言葉も印象的でした。
時は既に晩春、桜の季節はとうに終わりましたが、親鸞聖人が剃髪のとき詠われたという、「明日ありと 思う心のあだ桜 夜半に嵐の吹かぬものかは」の歌が頭をよぎります。人間のはかなきことは、いのちの後先が計れぬこと。深く心に刻みたいと思います。そして、被災の方々にお見舞いと、一刻も早い救援を心より念じます。
なお、覚照寺においては、五月二十日・火曜日の午後六時三十分より本堂において、インドより古典楽器シタールの世界的奏者・キショール・ゴーシュさんを迎えて、コンサートを行います。ささやかですが被災者へのチャリティーも行う予定です。お誘い合わせの上、お越し下さい。
2008年05月17日【72】