4月1日~素直で平等なまなざしで…
お寺の境内や公園の桜が一斉に開花しました。
さて今月は、幼稚園・保育園、学校、会社など、入学式や入社式が行われ、新たなスタートと出会いの月です。
先般、知り合いの幼稚園の園長先生から、次のようなお話をお聞きしました。
その幼稚園では、五歳の年長組のクラスに、体の不自由な園児・S君が在園しており、S君は三歳から入園し五歳になるまで、先生の指導や保護者の励ましのもと、障害のない園児たちと一緒に過ごしてきました。
幼稚園では、日常の保育のほか、運動会やお遊戯会など、さまざまな行事があります。体に障害を抱えた子どもには大変なこともありましたが、S君はその一つ一つの行事を努力して乗り越えました。
そして、S君が年長組になり、幼稚園最後の運動会が終わった後、教室で先生が、みんなと一緒に最後まで努力して頑張ったS君を褒めました。
しかし、その先生の言葉の後、子どもたちが口々に言ったそうです。
「本当にS君はとても頑張ったと思うよ。でも、もっと頑張った人がいるよ。それはB君だよ」
そのクラスには、家庭の事情で、五歳児になって初めて幼稚園に入園してきたB君がいたのです。
「もちろん体が不自由なS君は、三歳から僕らと一緒に入園して三年間、僕たちの二倍も三倍も頑張った。でもB君は、五歳で初めて入園して、何もかもが初めてなのに、僕たちと一緒にやろうと、この一年間の頑張りようは誰よりもすごかった」
子どもたちは、そのことを先生に伝えたのです。
幼稚園の先生方は、その言葉を聞いて、子どもたちがいかに素直で平等なまなざしで、物事を見て感じていることに気付かされたといいます。と同時に、大人のまなざしが、体が不自由だからだれよりも大変なのだ、という安易なものの見方、偏ったものの見方をしていたことに気付かされたとおっしゃいました。
そんなすばらしい子どもたちが今年もたくさん入園してきます。そしてたくさんのすばらしい出会いがあることでしょう。
2008年03月31日【69】