2月16日~すべてのもののしあわせを願う
先日十三日の夜、福島県沖を震源とする大きな地震が発生しました。
昨年来よりコロナ禍にあって、「このような時期に自然災害だけは起こらないように…」とことあるごとに願っておりましたが、自然の前にはそのような思いは通用しません。被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。
さて、仏道を歩むもの、仏さまのみ教えをいただくものの生き方。その目的は、すべてのものがしあわせになることです。
いや、仏さまの教えにご縁のない人でも、すべてのもののしあわせを願う人はたくさんおられるでしょう。
しかし、そのことを真剣に思えば思うほどその難しさも感じます。
この度の地震発生を知ってから、東北にお住まいの方は皆大丈夫だろうか、津波は起きていないだろうかと直ぐさま案じました。しかしその次には、私の知人や友人など自分と関係のある人は大丈夫だろうかとその心配の領域は狭まりました。
逆に、その地域に直接縁のある方がいない場合には、その心配のレベルは少し低下してしまいます。
もしもその時、自分の身の回りに別の急ぎの要件があったなら、自分のことで精一杯で人の心配やしあわせどころではありません。
人間の心は、自分の身の回りで何もないと一見穏やかで広く多くの人々のことを願っているようですが、自分の周辺で何かことが起きると自分と他人と直ちに区別をし、他人に対する思いや願いは吹っ飛んでしまいます。
悪い人ではありません。わざとでもありません。思いやりの心がないわけでもないのですが、しかし、いつもどんなときでも、すべてのもののしあわせを平等に願うことは難しい。それが人間の限界だと思います。
本当に、真に仏道を歩むことの難しさを感じます。
しかし、そのような私たちだからこそ、仏道を歩む、仏さまの教えを常に聞くことの意義があります。仏さまの願いこそ、すべてのもののしあわせだからです。
2021年02月16日【374】