8月16日~人が、人として育つということ。
今年もお盆が過ぎていきました。
各ご家庭では、お仏壇をきれいにお飾りしてご家族でお参り下さったことでしょう。
特に、普段は遠くにお住まいの子どもさんやお孫さんが帰省して、一緒に仏さまにお参りされることは、何よりも有り難いことです。
お仏壇を求めると、その家に死人が出るなどと迷信をいう人がたまにいますが、私は若い核家族のご家庭にも、早くお仏壇をお迎えして家族でお参りをする生活をお勧めしています。
申すまでもなく、お仏壇は、ご先祖方がお参りになった仏さまのお浄土の世界を形に表したもので、私たちが仏さまのお慈悲と智慧を味わい、信仰を深めていく場でありますが、それと同時に、人が人として育れられる場でもあるからです。
例えば、朝夕の食事の前には、必ずお仏壇に手を合わせお参りをします。多くのいのちと多くの方々のお陰によって、今日も食事を頂き生かされている感謝の心がわいてきます。
ご先祖の命日の時に、ご法事を勤めたりしますが、自らの命が親やご先祖とつながっていること、決して自分一人だけの命ではない、命の絆の不思議さを感じさせられます。
人様から頂き物をしたときなど、まず、お仏壇にお供えして、「いただきます」と仏さまにお礼をしてから封を開けます。自分一人で生きているのではない、多くの人様のお陰によって私の日暮らしが成り立っていることを感じます。
人が、人として育つとは、このような仏さまに対する尊敬や感謝の気持ちを持つ日々の繰り返し、積み重ねによってこそ成就すると思うのです。
テレビや新聞では、耳を疑いたくなるような青少年のいじめや暴力が問題になっていますが、世の中からお仏壇を中心にした生活が少なくなりつつある現状と決して無関係ではないと思うのです。
仏さまを中心にしたすばらしき家庭生活を省みたいものです。
2012年08月16日【174】