4月1日~「人が育つ」とは…。
春風に、満開の桜が揺れて、まぶしいくらいです。
さて先月は、多くの学校で、お別れの場面が多く見られました。
覚照寺が設立母体である幼稚園や保育園でも、たくさんの子どもたちが小学校に巣立っていきましたが、先月、このようなことがありました。
ある日幼稚園へ、以前幼稚園を卒園して行った子どものご家族より電話がきました。
「今から幼稚園に出向いていいですか」という問い合わせです。
幼稚園の先生は、「どのようなご用件だろう」と思いながらも、「いいですよ、どうぞ」と応えたそうです。
幼稚園には、卒園して小学生になった子どもとそのご家族、そしておばあちゃん、計五人が来られたそうです。
そして、「先生、この度、私たちはお仕事の都合で転勤することになりました。いよいよこの町ともお別れするときが来ましたが、その前に、この子が幼稚園に通っている間、お世話になり毎日お参りした幼稚園の仏さまにお礼のお参りに来ました。みんなでお参りをさせていただいてよろしいでしょうか」とおっしゃり、幼稚園の二階のホールにある阿弥陀如来さまに家族全員でお参りをされました。
幼稚園の先生方も、とても暖かで和やかな空気に包まれたひとときだったそうです。
「人が育つ、育てられる」とは、このようなことではないかと私は思いました。
つまり「人が育つ」とは、「心が育つ」ということではないでしょうか。
おばあちゃんのすすめによって、幼稚園を卒園した子どもが家族とともに仏さまに感謝のお参りをしました。きっと、このことは、その子どもの心の奥底に深く刻まれたことでしょう。そしてこの子の人生は、家族を始め多くの方々に支えられながら、生かされる喜びに溢れる心豊かな人生となることでしょう。
幼稚園に勤める私たちも、有り難きお育てをいただきました。
2012年04月06日【165】