11月16日~手を合わす生き方には…。
落ち葉が舞う季節となりました。
さて現在、ブータンのワンチュク国王夫妻が訪日していますが、私は国王の国会での演説を大変興味深く聞きました。
三十一歳の国王は、日本の国会議員を前にしてまず、「私は偉大なる叡智、経験及び功績を持つ皆様の前に、ひとりの若者として立っております」と述べ、そのことに対して「感謝します」と謝意を述べました。
そして、三月の大震災の折には、ブータンの至る所で大勢の人々がお寺や僧院で、日本国民に慰めと支えを与えようと供養のために灯を捧げ、お勤めをしたことを述べ、「私は愛する人々をなくした家族の傷みと苦しみ、生活基盤を失った人、人生が完全に変わってしまった若者たち、そして大震災から復興しなければならない日本国民に対する私の深い同情を、直接お伝えできる日を待ち望んで参りました」と、被災地へのお見舞いの言葉を述べました。
続いて「我々の物質的支援はつましいものですが、我々の友情、連帯、思いやりは心からの真実みのあるものです。我々ブータンに暮らす者は、常に日本国民を親愛なる兄弟、姉妹であると考えてまいりました」と、日本に対するブータン人の姿勢、気持ちを伝えました。
その演説は、うわべだけの美辞麗句、社交辞令ではない、言葉一つ一つに確かな響きがあるように感じました。
最後に国王は、ブータンを人口約七十万人の小さなヒマラヤの国と紹介しながら、ブータンの人々は、人々の間に深い調和を持ち、質素で謙虚な生活を続けており、若者が優れた才能、勇気や品位を持ち先祖の価値観によって導かれるブータンの社会を私は誇りに思う」と述べ、演説を終わりました。
ブータンの社会を支える根底には仏教の教えがあります。それは国王夫妻が合掌で挨拶をする姿で分かります。そこには感謝があり、懺悔があり、精進があり、敬いと慎みがあり、願いがあります。
手を合わす生き方、生活には、すばらしいお育てがあることを、あらためて教えられました。
2011年11月19日【156】