8月16日~一番の供養は何ですか?
僧侶にとって、とても暑く忙しいお盆が過ぎました。
さて、今年もたくさんのご門徒が初盆をお迎えになりました。
お参りに行ったあるご家庭で、お勤めの後、ご主人が、「生前、苦労をかけた父に対して、何が一番の供養になるでしょうか」とおたずねになりました。
その話しぶりからして、初盆を迎えた今は亡きお父さんに、精一杯のことをしたいという息子さんの思いが伝わってきました。
「お父さんは、お浄土にお生まれになって、尊い仏さまとしてのいのちをいただかれたのですから、特別に何かを心配される必要はありませんよ」と私は答えました。すると、息子さんは、「そういわれても父の喜ぶことを何かしなければ…」と、重ねて聞かれました。
「であれば、仏さまとなられたお父様の願いに応えることが大切ではないでしょうか。私自身、大切にしていることは、手に合掌、口にお念仏、心に報恩感謝、耳にお聴聞の生活です」と、答えました。
私たちの手は、ともすると人を押しのけたり、拳を握ったり、何かをつかみ取ろうとする手です。その手が合わさる生活を大切に。
私たちの口は、ともすると愚痴を言ったり、悪口を言ったりしてしまう口です。その口から報恩感謝のお念仏がでる日暮らしを。
私たちの心は、ついつい何事も自分中心に考えがちです。「おかげさまと生かされて、有り難うと生きていく」。日々そんな心持ちで生活したいものです。
そして何よりも大切なことは、仏法を聞く生活です。お父様はただ今、仏さまとなって阿弥陀如来とともに、後に残る縁ある方々を真実の道に導くためにはたらいて下さっています。その願いをお寺で聞かせていただくことが聴聞です。
私は息子さんにそのようなことをお話ししました。きっと、息子さんはお寺に足を運んで下さることと思います。
2011年08月17日【150】