7月1日~お念珠を手にかけるとき…
例年より二十日早く入った梅雨も、例年より二十二日早く明けました。いよいよ本格的な夏到来です。
さて、お寺の保育園や幼稚園の職員間では、今、腕輪念珠が流行しています。 最近、鮮やかな色とりどりのタマなども開発されて、ファッションの一部となっているようです。
多くの若い方々が日常的にお念珠をつけて、少しでも仏教に心を寄せてもらうことはとても有り難いことですが、お念珠を身につけることによって願い事が叶うとか、御守りになるとか、魔除けになるとか、という受け止め方は、お念珠本来の意味とは異なるようです。
基本的にお念珠のタマは百八つ、人間の煩悩の数だといわれます。一般の方が持つお念珠は略式化されて、五十四個、三十六個、二十七個ほどのタマで作られているのがほとんどです。
それらの煩悩のタマは一本の糸でつながれて、一番下に房のついたやや大きめのタマがあります。それを「母の珠」と書いて母珠(もしゅ)といい、この母珠が、私たちみんなの親さまである仏さまを表しているそうです。
つまりお念珠は、仏さまのタマに、私たちの煩悩のタマがつながれていることになります。そして、それをつなぐ糸を経(けい)といいますが、それはインドの言葉でお経を表すそうです。
あらためてお念珠を手にとって見てみましょう。一つ一つのタマは、私たちが日々、怒ったり、愚痴ったり、欲にかられたり、また悲しんだりする煩悩の一つ一つです。しかし、そんな煩悩を持つ私たちを、仏さまは見過ごすことなく、見捨てることなく、お経の教えでつなぎ、大きな智慧の眼で見守り、慈悲の心で包んでくださっています。
合掌してお念珠を手にかけるとき、その仏さまのお心を味わいましょう。
2011年07月01日【147】