5月15日~私の嫌いな人と再び…。
今年の春は少し変で、未だに朝夕肌寒い日があります。
さて、お寺では、毎月第二土曜日に、子どもたちが集まって土曜学校が行われていますが、先般その場で阿弥陀如来のお浄土の世界について、お話をしました。
私は、お浄土の世界をいろいろと説明する中で、「私たち人間のいのちには限りがあって、たとえ大好きな人とこの世で別れることがあっても、必ず再び会わせていただくことが出来るのが、お浄土という世界です」と、阿弥陀経に説かれる教えを話しました。
すると、子どもの一人が言いました。「それじゃ、嫌いな人とはどうなるの、また会うことはないの」。
鋭い質問です。私は困りました。なぜならば、お浄土の世界は、自分の好きな人、嫌いな人、あらゆる人にわけへだてなく会う世界だからです。必ず顔を会わせなければなりません。
では、どうしたらいいのでしょうか。おおよそ嫌いな人がいない人などいませんし、長い人生では自分の意に沿わない人はたくさん出てきます。
私は、その子どもに、「そのために仏さまの教えはあるし、教えを聞くことが大切なのだよ」と、答えました。そして「お寺で仏さまの教えを何回も何回も聞いていくと、なぜ、自分に好きな人や嫌いな人ができてくるか、その原因が分かってくる」、そして、さらにたくさん教えを聞いていけば、嫌いな心や、会いたくないという心が、やがて少しずつ小さくなってくるのだと思うよ」と話しました。
私の拙い説明を、子どもたちはよく理解できなかったかもしれません。しかし、聴聞を重ねて、やがてお浄土に往生するということはそういうことかもしれません。
この世では憎み合うこともある人間ですが、やがてお浄土ではきっと手を取り合える仲間となるのだと、仏さまの教えを聞いて気づかされたとき、私たちはお浄土に間違いなく参れる身とさせていただくのです。
2010年05月15日【120】