2月15日~あまりにも夢中になって…
二月もはや半ば、逃げるように毎日が過ぎていきます。
さて、バンクーバー冬季オリンピックが華やかにスタートしました。史上最多の八十二カ国、約二,六〇〇人の選手が集まり、十七日間にわたって競技を繰り広げます。
さっそく二日目に、フリースタイルスキー女子モーグルで、期待の上村愛子選手が、四度目の五輪に臨みました。
上村選手は期待通りのすばらしい滑りを見せてくれましたが、結果、四位に終わり、残念ながら、またしても悲願のメダルには手が届きませんでした。
私も家族と共にテレビで応援し、健闘をたたえましたが、テレビが終わった後に坊守が、「恥ずかしいことですね」と私に言いました。
その言葉のわけを坊守に聞くと、当初、上村選手は決勝で二位に食い込み、その後、予選上位四名の競技の結果を待つことになりました。次の選手はあまりにもスピードが出すぎて転倒してしまいました。その時、坊守の心の中に、「やった、上村選手がメダルに一歩近づいた。よかった」という心がわいたと言います。
次の選手も、最後のジャンプの着地がうまくいかずに転倒してしまいました。その時、坊守の心の中に、「やった、よかった。もう一人で上村選手にメダルが届く」という心がわいたと言います。
考えると、失敗をした他国の選手も上村選手と同様、この数年間過酷な練習に耐え、それを見守り応援する家族、友人、たくさんの方々がいます。
しかし、日本の上村選手を応援するがあまりに、他国の選手のその苦労や応援する周囲の方々の姿が見えなくなり、あろうことか失敗を喜ぶ心がわいた。その自らの心を、坊守は恥ずかしいと言ったのです。
坊守だけではありません。私の心の中も同様でありました。
我が国の選手を応援することは大切なことですが、あまりにも夢中になって、他国の選手の失敗を期待したり喜ぶことは誠に浅ましいことです。日本の選手同様に、他国の選手の健闘もたたえる心の広さを持ちたいと思うことです。
2010年02月14日【114】