9月1日~一隅を照らすということ
朝夕はめっきり涼しくなりました。
さて、八月末の 政権選択を最大の争点とした衆院選は、政権交代を訴えた民主党が圧倒的な勝利を収めました。近々開催される特別国会で鳩山由紀夫代表が首相に選出され、「鳩山内閣」が誕生することでしょう。
社会に格差と貧困が広まり、普通の人がごく普通に働いて、普通の生活を送ることが困難になった日本に、有権者の審判が下ったと言えます。国民の一票に託す思いが積み重なって、政治を根底から突き動かしました。
新内閣には、その国民の切なる願いをぜひとも叶えてほしいと思います。
さて、天台宗の伝教大師最澄の言葉に、「経寸十枚、是れ国宝に非ず。一隅を照らす、此れ則ち国宝なり」というものがあります。
「直径が一寸もある見事な珠があったとて、それは国宝ではない。社会の片隅にあって、世の中を照らしている人こそ、真の国宝である」という意味で、とても有名な言葉です。
この「一隅を照らす」という意味について、仏教評論家のひろさちやさんは、テイクパートの精神だと説明されます。テイクパートとは、「自分に与えられた役目を果たすこと」という意味で、ときに「参加」とも訳され、「オリンピックは勝つことでなく、参加することに意義がある」というときと同じ意味です。
人はそれぞれ、家庭で、地域で、仕事場で、役目を背負います。小さな役目の人は小さな役目でかまいません。大きな役目の人はその大きな役目を果たさなければなりません。
おごることなく、高ぶることなく、怠けることなく、比べることなく、それぞれ与えられた役目を精いっぱいお勤めする。「一隅を照らす」とは、その大切さを教えてくださる言葉です。
新内閣にもお願いしたいですし、自分自身も心がけたいと思います。
2009年09月01日【103】