7月1日~今の若い世代の人たちは…
梅雨のただ中、連日、雷が雨空に鳴り響いています。
さて、仏教の禅宗でよく使われる言葉に、「脚下照顧」という言葉があります。脚下とは自分の足元、照顧とは照らし顧みると書いて、自分の姿と心を顧みるという意味で、自分が今どのような立場にいるのかよく見極めて事に当たりなさいということです。
先日、この言葉を味わう出来事がありました。ご門徒のYさん宅へ、ご主人の三回忌のご法事に出向いたときのことです。
いつもの通り、お経とご法話を勤めた後、会食になり、Yさんの子ども・三人姉妹のご主人方は皆四,五十代、私と同じ世代の方々。自ずと話題が一緒になりました。テーマは、「今の若い世代の人たちは常識を知らん」ということです。
一人のご主人は、「今の若いもんは、荷物のくくり方さえ知らない。それくらい常識なのに」とおっしゃいました。
一人のご主人は、「今の若いもんは、仕事場で自分の置かれた立場や、相手を思いやる心、また責任感がない」とおっしゃいました。
私も負けてはいません。「今の若い人たちは、上司から言われないと仕事をしない。私たちの頃は自分から進んでしてたものだ」と言いました。
世代が同じ私たちの、「今の若い者たちの批判オンパレード」です。
しかし、その時です。会食で私の隣に座っておられた年配の方が、私たちに向かって、「だけど、そんな若者たちを育てたのはお前たちであり、お前たちの家庭や社会じゃないのか」と一言おっしゃいました。
一瞬その言葉に、私たちは一様に口を閉ざしました。確かにその通りです。私の子どもも既に大学生、若い者のうちに入ります。私たちがそろって批判をした若者の中に入ります。
親である自分たちのことはさておいて、若者の批判を一方的にしてみても、心にはむなしさだけが残ります。脚下照顧~自分の姿と心を顧みなければならないのは、親世代の私たちの方かもしれません。
2009年07月02日【99】