10月15日~そんなあなたでいいのですか?
連日雨模様です。めっきり肌寒くなりました。
さて、先日より台風十三号、十五号と、似通ったコースをたどりつつありますが、町でご門徒方とお会いするたびに、その話になります。
農業を営む方は、「せっかく育てた稲穂が倒れる被害が起きるので、絶対に来て欲しくない」とおっしゃいます。
建設・土木をなりわいとされている方は、「仕事もめっきり少なくなった今日、台風がちょっとくらい来て、少々の被害でも出ないと仕事がない」とおっしゃいます。
子どもたちは、「台風が来れば学校が臨時休校になるからうれしいな。早く来ないかな」と、口々に言います。私も幼いときに、同じようなことを口にしていた記憶があります。
ご門徒や子どもたちだけではありません。幼稚園の園長を務める私も同様です。「台風が来れば、近々開催の運動会が運動場でできない。どこか長崎か四国にでも行ってくれればいいのに…」、そんなことを思い、また口にします。
農業をされている方、建設・土木の関係者の方、子どもたちや幼稚園をお預かりする私も、それぞれの立場から、台風に対するそれぞれの思いを話します。特に、直接生活にかかわる方の切なる言葉は、本当にその通りだと思います。
しかし、ここで少し考えたいのは、「こちらに来て欲しくない。どこかほかの地域へ行け」と思うことは、裏を返せば「自分さえ助かればいい」ということにつながります。
また、「こちらに来て少々の被害があれば…」と思うことも、裏を返せば「自分さえ良ければいい」ということにつながります。
私自身が、「自分の幼稚園の園児のために、台風がこちらへ来ないように」と思うことも、裏を返せば「他の地域の幼稚園や保育園の園児はどうなってもいい」と言っていることと同じです。
人は、いざとなると、つい自分だけの立場や思いで、判断しがちになるものです。「同じいのちを持つものとして、そんなあなたでいいのですか?」と、いつも休まず問いかけて下さる方が仏さまなのです。
2008年09月30日【81】