10月16日~ともに手を携えて大切に…
先日の台風19号は猛烈な雨を降らせ、東日本を中心に21河川の24カ所で堤防が決壊し、多くの死傷者、行方不明者、建物被害など、広範囲にわたり大規模な被害をもたらしました。被災された皆さまに心よりお見舞い申し上げます。
さて先日、市内の葬儀社の若い社員二人が突然お寺に来られました。
仏事について質問があるとのことで、私が知る範囲であればと応対しました。
葬儀社の方は、「かけつけ」について聞かれました。「かけつけ」とは鹿児島独自かもしれないのですが、人がお亡くなりになったときに、そのお宅がある地域の方やご親戚が、そのことをお寺の仏さまのもとへ直ちにご報告に来られることで、大事にお役なので必ず二人で来られるのがしきたりとなっていることを話しました。
次に葬儀社の方は、葬儀後の七日七日の中陰の法事はなぜするのかを聞かれました。昨今、遺族には若い方もあって中陰の法事を知らず、また時には必要性を感じない人もいるそうです。
浄土真宗の教えでは、私たちは臨終とともに阿弥陀如来の本願力によって西方浄土に往き生まれる身となるのですから、葬儀後の七日七日のご法事は亡き方のためにあれこれ心配する必要はありません。
ただ、私たちは親をはじめとして、時には心配をかけ苦労をかけながら、育てられ生かされてきました。亡くなられてから四十九日までの期間、そのご恩を偲びながら感謝の思いで手を合わせていくことは人として大切なことです。
さらに、お経に耳を傾け、そこに説いてある教えを聞き仏縁を深めていくことこそが仏事で最も大切なこともお話ししました。
葬儀社の方は、「するとご法事は亡き方のためだけでなくて、後に残る方々のためでもあるのですね」と話され、ご理解いただいたことを大変嬉しく思いました。
葬儀社もお寺もともに手を携えて、大切な方を亡くされたご遺族の悲しみに寄り添い、仏さまの教えをより所に一度きりの葬儀を大切にお勤めしましょうと、話し合ってお別れしました。有り難いひとときでした。
2019年10月15日【344】