5月15日
早いもので、奄美地方の梅雨入りが発表されました。
さて、先日、立命館大学の安斎育郎教授の「だます心 だまされる心」という本を読みました。安斎先生は、占いや心霊現象、超能力やUFOなど、様々な不思議現象について、科学の立場から厳密に考察することで有名な先生で、この本では、人がだまされる心についてくわしく書いておられます。
安斎先生は、「そんなことができるなら、どうしてこうしないのか」と、問うことが、私たちがだまされない極意だと言われます。
たとえば、超能力のスプーン曲げが昔はやりましたが、そんなに簡単に金属を曲げられるなら、どうして金属加工技術としてすぐに利用しないのか。
霊能者に霊視ができるのなら、霊を呼び出して犯人を聞けばいいのに、なぜ、未解決の殺人事件が多くあるのか。
奇術師が競馬を予言する番組がありましたが、それができるのならなぜ、奇術師は競馬場に行って万馬券を当てないのか。
「三週間で英語がペラペラになります」と言う、英会話教材の訪問販売員が、なぜ、英語ペラペラではないのか。
「この財布を持てば、あなたはたちまちお金持ち」という宣伝が本物なら、なぜ政府は国民にその財布を配らないのか、など、冷静に問うことが大切だということです。
何ともばかばかしいと思う方もおられるかもしれませんが、安斎先生は、世の中にはたわいもないテクニックで、いとも簡単にだまされる人が大変多いと指摘されます。
そして、だまされる二つの落とし穴があり、一つは、「人間は、一つのことにとらわれると、他のことが正しく見えなくなる思いこみの心」と、もう一つは、「楽して儲けたい」「手術をしないで病気を治したい」「努力しないで英語を覚えたい」などの欲望だそうです。
人は、欲望ずくで生きようとすると、思いこみの心で正しいことわりが見えなくなり、そこにだましの落とし穴が、口を広げて待っています。
巷では、毎日のように詐欺事件や粉飾事件が起きています。安斎先生のだまされない極意を心したいものです。
2006年05月15日【24】