「北枕」で寝るとよくないことが起こる?
「そっちの方角で寝ると北枕になるんじゃない。よくないわよ」、「北枕は縁起が悪いわよ」。時折耳にする言葉かもしれません。本当に「北枕」はいけないのでしょうか。
実をいうとこの「北枕」は、今から2,500年前、インドでお釈迦さまがお亡くなりになられた、つまり涅槃に入られた時のお姿なのです。
お釈迦さまのお生まれになった日、お誕生日は4月8日。この日は「花まつり」として広く知られていますが、お亡くなりになった日、ご命日は2月5日。涅槃に入られたという意味で「涅槃会(ねはんえ)」と呼ばれています。
お釈迦さまは御年80歳。現在のことではありません。約2,500年前のことですからその生命力には驚くばかりです。
お釈迦さまは、王舎城(おうしゃじょう)の霊鷲山(りょうじゅせん)というところから故郷のカピラ城に向かって、その老齢を押して最後の伝道の旅に出られるのです。しかし、途中で食中毒にかかられ、クシナーラ郊外のサーラ樹の林で静かに生涯を終えられました。
その時のお姿が「頭北面西右脇(ずほくめんさいうきょう)」の格好だったと今に伝えられます。頭を北に、足を南に、右脇を下にして、お顔を西に向けられたお姿です。
親鸞聖人も、法然上人も、お亡くなりになったときはこのお姿をとられています。つまり仏さまのみ教えをいただくものとして、お釈迦さまのお姿に従われたのです。
仏さまの教えにあまりご縁のない方は、単に「これは人が亡くなったときの姿だ。縁起が悪い」などと嫌うのですが、よく考えてみると、頭を寒い北に向け、足を暖かい南に向けというのは「頭寒足熱」の理にかなっていますし、右脇を下にというのも胃の形の関係からも内蔵が休まるよい姿勢といわれます。
人間の心も体も深く見極められ、真理を体得され、お悟りを開かれたお釈迦さまです。お釈迦さまのお言葉、お姿に何一つ縁起の悪いというものはありません。お釈迦さまは、お亡くなりになる最後まで、私たちに生命の安らかなる姿を示されたのです。ですから、お休みになる方向を全く気にする必要はありません。
2004年09月13日【4】
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