10月1日~たとえ失念ばかりの私でも…
新米がおいしい季節となりました。
さて、先日ラジオで、「本当の別れは会えなくなることではなく、忘れてしまうこと」という言葉が紹介されていました。
これは、今年八月六日、広島市で行われた七十六回目の平和記念式典で、市内の小学六年生の二人が、子どもを代表して読み上げた「平和への誓い」の中の言葉です。
「私たちには使命があります」という言葉に始まり、「私たちは、犠牲になられた方々を決して忘れてはいけないのです。私たちは、悲惨な過去をくり返してはいけないのです」
「私たちの願いは、日本だけでなく、全ての国が平和であることです。そのために、小さな力でも世界を変えることができると信じて行動したい。誰もが幸せに暮らせる世の中にすることを、私たちは絶対に諦めたくありません」と、お二人は平和への誓いを世界に向けて力強く発信しました。
お二人は原爆で犠牲になった方々を忘れてはならない。二度と悲惨な過去を繰り返してはならないという決意の言葉として、「本当の別れは会えなくなることではなく、忘れてしまうこと」と表現されました。
これを、浄土真宗の仏さまのお立場から申せば、私たちには「別れはない」と言えるかもしれません。
なぜなら、仏さまとなられし方々は、あとに残る私たちのことを、いつでもどこでもどんなときでも忘れてはおられないとお聞かせいただくからです。
たとえ私のような失念を繰り返してばかりの人間でも、仏さまは決して忘れることなく、私に何を求めて生きるべきか、何を大切にして生きるべきか、常に問いかけてくださっています。
仏さまの方から、決して「さよなら」はおっしゃらないのです。
そういただくと、皆それぞれに小さな力ではありますが、身近なできるところから、平和な世の中になるようにとの一歩を、また踏み出さねばなりません。
2021年10月01日【389】