9月16日~忙しい手を少し休めて…
秋の実り、たくさんの果物が出回っています。
さて、秋のお彼岸の季節です。お彼岸は、日頃何かと忙しい私たちが少しその手を休めて、阿弥陀仏のお浄土に心を寄せて、その教えに耳を傾ける日本で生まれた大切な仏教行事です。
先日読んだ本の中に、「人生への三つの質問」というものが紹介されていました。
一つ目は、「あなたは人間に生まれてよかったですか」です。
一説には、地球上には八七〇万種以上の生物が存在するといわれ、これまでに発見・分類された種はこのうちのほんのわずかだそうです。その多くのいのちの中で、人間のいのちを恵まれました。よかったでしょうか。それともノーでしょうか。
二つ目は、「あなたは人間でしか会えないものに会っていますか」です。
かわいいペットの犬に会いました。愛おしい猫ちゃんに会いました。そのような意味ではありませんし、そんな答えでもありません。死を避けることができない、代わることができない、後先順番もない、限りあるいのちを生きているということを、自分自身で受け止められる人間だけが、出会うものは何でしょうか。
三つ目は、「やがてあなたは人生を終えていきますが、帰っていくところがありますか」です。
お葬儀のご挨拶によく、「ご冥福をお祈りします」とか、「天国で安らかに」とか、「御霊のご平安をお祈りします」とか聞きますが、あなたの行くところは冥土ですか、天国ですか、霊とやらががふわふわしているところですか。あなたが帰って行くところは、いったいどんなところか聞きたずねたことはありますか。
せっかくのお彼岸です。普段忙しい手を少し休めて、この三つの問いについて、自分なりの答えを探してみてもよいのではないでしょうか。
2021年09月17日【388】