7月1日~あの言葉がすごく響いていて…
涼しげに泳ぐ金魚がうらやましい季節です。
さて、多くのみ教えをお経という形で、私たちに残してくださったお釈迦さまですが、その教えは時に一貫性がないのではと言われることがあります。
それはお釈迦さまは、相手の悩みや苦しみ、相手の状況に応じて教えを説かれたからだと言われますが、そのことについて興味深いお話を聞きました。
先月二十九日、昨年二月に亡くなった野村克也監督を偲んで、野村さんが生前監督を務めた阪神タイガースとヤクルトスワローズによる追悼試合が甲子園球場で開催されたときです。
野村さんから教えを受けた野球選手はたくさんいますが、それを代表して元阪神の投手・藤川球児さんがゲストとしてテレビで話をされていました。
藤川さんは野村監督との思い出を話す中で、野村監督は、「入団して間もない十八歳の私に『野球選手である前に社会人であれ』と言われました。あの言葉がすごく響いていて、引退する時にこれからどう生きていくのか人生設計ができていたし、後悔は一切なかったです。新人から三年間、いい指導をしていただき、本当に感謝しかありません」と話しました。
またその後に、野村監督は選手一人ひとりそれぞれにアドバイスをくださった。だから周囲からそれを見ると一貫性がないんです(コメントそのままではありません)と話していました。
つまり野村監督は、年齢も、能力も、身体的精神的状況も、ポジションも異なる選手一人ひとりの状況に合わせて、その選手に応じた適切な指導をしてくださったので、その話の一つ一つを後から重ねてみると整合性がなくなるということで、冒頭のお釈迦さまのお話に通ずるものです。
それほどに野村監督は、選手一人ひとりを親身に指導されていたのでありましょう。
「財を残すは下、事業を残すは中、人を残すは上なり」
梅雨明かりに、野村監督の言葉が響きます。
2021年07月01日【383】