6月1日~欲の中身と求め方
麦嵐が心地よく感じられる季節です。
さて先般、お寺に関わるすべての職員がSDGsについてお勉強をしました。
SDGsは「持続可能な開発目標」という意味で、国連加盟193か国が、2016年から2030年の15年間で達成するために掲げた目標です。
具体的には、17の大きな目標と169の課題で構成されており、貧困や飢餓対策、健康や教育、安全な水の確保や、クリーンエネルギー、働きがいと経済成長、気候変動や環境保全などの課題に、世界中のあらゆる人々が当事者となって取り組んでいきましょうという、これからの地球と人々を守るための世界的な運動です。
裏を返せば、これまで私たちが便利、簡単、スピードの生活を求め続けてきたほころびが、地球上の至る所で見えてきた結果と言えるのかもしれません。
仏教では、人間には貪欲の心があり、その欲が満たされればその時点では満足しますが、しばらくするとそれはアタリマエになって、さらに欲は次の段階を求め、逆に満たされなければ不満の状態に陥り、人間の欲には限りがなく、それ故貪欲と言われます。
しかし、もうこの地球は、それが「わかっちゃいるけどやめられない」という冗談では済まされない状態にあり、皆一人ひとりがその当事者となって取り組まねばならない課題を SDGsは具体的に提唱しているのです。
かといって欲をなくせば、様々な状況の中で多くの人々が生活をしている地球には、進歩も発展もありません。
お釈迦さまは「少欲知足の心」、欲を少なくして足ることを知ることが大切だとおっしゃいます。これはただ単に、私たち一人ひとりの欲を押さえろということでなく、その欲の中身と求め方が問われています。
少欲知足の心で、SDGsの学びと実践に取り組んで参りたいと思います。
2021年06月01日【381】