5月1日~日本の美しい姿いつもでも
さわやかな風が香る季節です。
さて、先般テレビ番組で、ブラジルのレストランで、日系の若い方々が食事を前にして、皆で手を合わせていただく様子が放映されており、遠く離れたブラジルの地で、日系の若い方々が日本のお食事の作法を守っていてくださることを誠に有り難く思いました。
日本人の「食」の文化は、禅宗の開祖・道元禅師が示された『赴粥飯法・ふしょくはんぽう』によるいわれています。
この書物で大切にされていることは、食べものを作ることも、食べることも修行であるということ。そして「食」全般に対する感謝であると言われます。
日本の料理、茶道を含めた食事文化の根底に、単に「味」の追究だけでなく心があるのは、この『赴粥飯法』によるといわれ、その中で現代にまで及んでいる作法の一つが、目の前の食べ物に対し合掌することです。
本願寺第八代の蓮如上人は、「お食事を召し上がるときは、まず合掌されて、阿弥陀如来と親鷺聖人のおはたらきにより、着物を着させていただき、食事をさせていただきます」と、感謝のうちに食事をされたことが記録に残されています。
明治時代になって、社会の変化に伴なって、日本の家庭から少しずつお膳が姿を消していき、ちゃぶ台が使われるようになり、その一家団欒の場が食事の作法を伝える場となったと言われます。
その後、家庭で行われてきた食事の作法が、学校教育の場で修身の一環として、教えられてきたようです。
私たちは、料理を作ってくださった人、食材を用意してくださった多くの人々、動物や植物などあらゆるいのち。その恵みによって、今日一日を生かされています。
その大いなる働きとご恩に感謝の思いで手を合わす、日本の美しい姿をいつまでも大切にしたいものです。
2021年05月01日【379】