11月16日~いのちの原点に立ち返る
十一月も半ばですが、小春風が吹く穏やかな日々が続いています。
さて先般、アメリカの大統領選が行われ、バイデンさんはほぼ勝利を確実にした形ですが、トランプさんはそれをなかなか認めようとせず、政権移行も行われない状況です。
トランプさんが「アメリカファースト」を掲げ大統領を務めたこの四年、人々は眉間にしわを寄せ、分断と対立の文字が躍り、民主主義象徴の国であったアメリカが世界から信頼を失ってしまった感は否めません。
以前にも紹介したお浄土にいる鳥のお話をあらためて思い出します。
阿弥陀さまのお浄土の世界には、色とりどりのたくさんの鳥たちがいて、常に阿弥陀さまの功徳を優雅な鳴き声で讃えているそうです。
その中に「共命之鳥」という、胴体は一つなのですが、頭が二つあって、鳴き声がとても美しい鳥がいるそうです。ぐみょうとは共に命を持つ鳥と書きます。 この鳥がお浄土に生まれる前の話です。この鳥は毎日、とても仲がよかったのですが、ある日森の中で、いったいどちらの方が鳴き声が美しいかが話題になりました。
二つの頭を持った鳥は互いに、「オレの方が一番だ」、「いやオレの方が美しい声を持っている」と言い争いを始め、同じ体を持ちながらも、その争いはお互いを憎しみ合うまで増幅していきました。
そして遂に片方が、「あいつがいなくなれば、オレは一番・ファーストになれる」と餌に毒を混ぜて食べさせました。
食べた片方は苦しみながら死んでいきますが、間もなく毒を盛った片方も苦しみの中で命を果てます。当然です。胴体は一つなのですから…。
このお話は、目には見えない縁によってお互いに生かし生かされている私たちが、「自らの立場だけを考えて他を滅ぼすことは、やがて自らをも滅ぼすことになる」ことを教えています。
バイデンさんには国際協調に力を注いでほしいと思いますが、トランプさん蒔いた種は根強く残ることでしょう。
今一度、生かし生かされている私たちが、いのちの原点に立ち返る必要がありそうです。
2020年11月17日【368】