1月16日~もう一度、苦境を乗り越えて…
真冬の明け方、ぴんと張り詰めた空気に身も心も引き締まります。
今月十五日の夕方、遠征先のマレーシアで交通事故に巻き込まれたバドミントンで世界ランキング一位の桃田賢斗選手が日本に帰国しました。
東京五輪で金メダル最有力候補の日本人選手なだけに、このたびの事故は、本人のショックは相当なものだと思います。
桃田選手は、二〇一六年四月に違法賭博問題が発覚し、出場確実だったリオデジャネイロ五輪の出場資格を失い、無期限の謹慎処分を経て二〇一七年五月に実戦復帰しました。
そして翌一八年には世界選手権で初優勝。様々な苦境からはい上ったことで有名ですが、先般テレビの番組に出演。四年前の謹慎期間についてもお話をしていました。
当時は、「周りの人への感謝がすごく欠けていた。選手として環境を与えてもらえるのが当たり前で、自分のことしか考えられていない心の弱さがあった」。
また、謹慎中は自らの所属企業の業務も経験して、「NTT東日本がどういう仕事をしているのかも知らなかった。その姿勢が変わったのが一番大きい部分」と述べ、自分以外の多くの社員のお陰があって、自分が代表して試合に出られていたことに気づかされたというようなお話をしていました。
人間は誰しも間違いを犯してしまうことがあります。しかし、その厳しく辛い境遇になって初めて大切なものに気づかされることがあります。
悔恨と慚愧の日々の中で選手として、人間として大切なものを学び、苦境を乗り越えて再び頂点に帰りついた桃田選手の姿は、誰もが賞賛するところであります。
どうかその経験と強い精神力でこのたびの災禍を乗り越えて、晴れの大舞台で活躍してくださることを念じつつ、静かに応援したいと思います。
2020年01月16日【350】