6月1日~なるべく早いうちに…
梅雨に入りました。もうしばらくすると田んぼが青くいきいきとした表情を見せてくれることでしょう。
さて、先日ご法事に行ったお宅で、親戚の男性が過去帳を指さして、「この戒名は何と読むのですか」と質問をされました。
その問いに対し私は、「これは戒名ではなく法名ですよ」と添えた上で、読み方を説明すると、男性は「私はこれまで、戒名も法名も同じと思っていました」と述べられました。
戒名も法名も仏弟子がいただく名前としては同じなのですが、違いがあります。
戒名とは、仏教において指導者である戒師から戒律を授けられ、仏門に入った証であり、戒律を守るしるしとして与えられる名前のことです。
戒律とは、仏道修行を行う上で守るべき事柄を定めた規律のことで、浄土真宗の信者にはその戒律はありませんから、法名と言います。
法名の「法」とは、仏さまの教えのことで、法名とは仏さまと、その教えと、その教えを信仰する尊き人々に帰依し、仏法を人生のよりどころとして生きる仏教徒がいただく名前です。
戒名も法名も、仏教徒としての自覚をもって生きる証としての名前でありますから、基本的には生前にいただくことが大切です。
浄土真宗本願寺派の場合、京都の本山本願寺に参り、帰敬式(御髪剃、おこぞり)を受け、ご門主様よりいただきます。
人間がそれぞれの人生を歩んで行くには様々なことがあります。楽しいこと嬉しいことばかりであれば良いのですが、悲しいこと辛いこともすくなくはありません。 また思いがけなく壁が立ちはだかったり、深い谷に落ちることさえあります。
仏さまの教えは、その人生にどのようなことがあっても、正しい道を示し私たちを支えてくださるもので、法名はそのためにいただくのです。
なるべく早くいただいて仏法を人生の拠り所としましょう。
2019年06月05日【336】