5月1日~平和で実り多き時代であるために…
天皇の退位・新天皇の即位によって、元号が平成から令和へと変わりました。
平成天皇と美智子皇后の任期三十年は、先の大戦の反省と犠牲となった多くの方々への追悼、自然災害等で被災された方々へのお見舞いと激励、そして福祉に尽くされた日々であり、「象徴」という姿が如何にあるべきかを常に問い求められ、退位にあたり心からご苦労様でしたと申し上げることです。
さて、新しい令和の時代はどのような時代になるのでしょうか。平成天皇が最後の挨拶で言われたとおり、日本も、世界の人々も平和で実りの多き安寧の時代であってほしいと思います。
そしてそのためには多くの知識や技術、経験というものが必要でしょうが、一方で、人々に確かな秩序や教え、道理というものがなければ、社会全体が間違った方向へ走りがちになります。
AI・人工知能は日々進歩しており、私たちの日常に欠かせないものとなりつつありますが、将来、人間が本来持つ役割まで奪うのではないかという声もあります。
DNA研究の進展は、いのちそのものの考え方について、様々な課題を抱えています。また人々の生活を豊かにするはずのロボット研究も、一方では攻撃の判断すら無人化された殺人ロボットが誕生して、人命を奪うのではないかという懸念も高まっています。
このような時代にあって、あらためて仏教の智慧をいただきたいと思います。
智慧とは、一切のものとそれを成り立たしめている真理・道理のことで、仏の覚りより来るはたらきであります。
この智慧の光に照らされる時、私たち人間とは本来どのような存在か。人間が求める平和で心豊かな社会には、どのようなものの見方や考え方を大切せねばならないかが明らかになります。
令和の時代が、平和で実り多き時代であるように、日々仏さまの智慧に学んでいきたいものです。
2019年05月01日【334】