11月16日~様々な条件絡み合う中で…
ここ数日、急にひんやりとしてきました。風邪をひかないように注意しましょう。
さて先月、ジャーナリストの安田純平さんがシリアで武装勢力に拘束されてから、三年四ヵ月ぶりに解放されたことをきっかけに、「自己責任」という言葉が話題になりました。
自分が主体的に行った選択や行為については、そのもの自らが責任を負うということでしょう。またジャーナリストの江川紹子さんによると、資金調達や投資運用は自己責任でというような、もともとは金融や経済活動に使われていた言葉が、病気や事故、会社の倒産、あるいは冬山登山などの冒険など、あらゆるリスク・危険に備える警告の言葉として用いられるようになったとのことです。
今回は、危険地帯の現実を自ら取材するために、あえて挑んだジャーナリストの行為が問われたものであり、ご本人も現地での判断を誤ったことを認めておられましたが、どれほど準備や注意をしていても、様々な条件が絡み合う現場で、絶対的に安全を保つのは難しいものがありましょう。
またこの言葉が、危険地帯にあえて行ったのだから、どうなっても政府は知りませんというような、政府の責任を限りなく軽くするような表現だけでとらえられたり、貧困や過労死などは自分自身の適切な管理ができなかったからというような、社会的弱者や訴えを封じ込めるための言葉として使われる危険性も、江川さんは指摘しておられます。
過酷な戦場で暮らす当事者の現実を、第三者が生で取材して伝えるジャーナリストは大変な仕事です。また壮絶な苦しみを受けることを目的に自ら赴く人などいないでしょう。
結果だけを見て原因を推測し、いたずらに責任を問うことは慎みたいものです。
また自分自身の行動にも、よく思慮した上で行えるようなゆとりを持ちたいものです。
2018年11月16日【323】