9月1日~核ではなく「心の抑止力」を
夏休みが終わり、いよいよ二学期が始まりました。お寺では今年もサマーキャンプを行い、たくさんの子どもたちが楽しい時間を過ごすとともに、お寺に残る戦争の傷跡を見学し、平和の尊さについて学びを深めました。
さて、今月は秋の彼岸法要が勤まりますが、お彼岸は、普段仕事や家事で慌ただしい日々を送る私たちが、阿弥陀如来のお浄土の世界に心を寄せ、その教えを聞いて、日々の生活のあり方を省みる仏教行事です。
そのお浄土の世界は、争いがないということが大きな特徴です。
お経の中に、お浄土に咲く蓮の花は、「青色の花は青色の光を放ち、黄色の花は黄色の光を放ち、赤色の花は赤色の光を放ち、白色の花は白色の光を放っている」とありますが、これはそれぞれにいのちの花を精いっぱい咲かせ、対立したり争うことがない様子を示しています。
この姿に私たち人間の世界が学ぶとき、生活も、考え方も、価値観も異なるもの同士が、互いに相手の意見や主張をよく聞いて、争うことなく、どうにか歩み合いをすると受け止めることができます。
また、このお浄土に住む方々は、相手を殺めたり傷つけるような武器は一切持たないとも説かれています。
お浄土の世界は、煩悩が滅された真実の悟りの世界であり、人間の迷いや恨み憎しみを越えた世界ですから争いもなく、それ故に武器など必要のないのでしょうが、この姿に私たち人間が学ぶならば、平和への道をたゆまず歩みつづけると受け止めることができます。
核や武器の保持を進める国では、戦争を起こさないための抑止力という言葉が使われます。抑止力とはブレーキのことですが、仏さまの教えに生きるものは、究極の暴力である核や武器に頼るのではなく、常に自らの心に対する強い抑止力を持つよう努めているということです。
心の抑止力を持ちましょう。常に平和への道を歩み続けましょう。お浄土からお呼び声が聞こえてくるお彼岸がやってきます。
2018年09月01日【318】